約 束 の 唇
(特別楽屋話)
Episode6
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Episode6
(目次)
Chapter3
Chapter2










こんにちは、黒衣です。
第六話特別編、いかがでしたでしょうか。
今回のお話はいわゆる “もうひとつの最終話” だったりします。
すなわち、本編の方が昭乃さん側の最終話であるのに対し、こちらの特別編は……。




昭乃 「……翔にとっての、かしら?」




そうです。




昭乃 「これで全部なの? 首輪も足枷も」




はい。
そういうことになります。




昭乃 「…………」




レイアウトについてですが。
全体像としての二章は、主に柱となる2つの物語から成り立っています。
ひとつは昭乃さんによる昭乃さんサイド、そしてもうひとつは亮子さんによる翔君サイドでして、
先立って触れた構成上のキーワードを基にそれぞれの物語が交互にかつ平行して進んでいく構図です。
この “交互かつ平行”、 というのはまたひとつのポイントでもありました。
昭乃さんと翔君とが実際に居場所を共有する場面は基本的に第一話の周りと最終話のみとなっており、
その間、彼女の物語は彼女自身により、そして彼の物語は彼以外の人物によって別々に紡がれていきます。
いわゆる対句法の体裁を随所に用いているのはそのためです。
ところが第四話をもって亮子さんが降板してしまい、ちょうどそのあとを継いだのが香澄さんだったという訳です。




昭乃 「ずいぶんと便利に使ったものね」




言い訳は致しませんが。
香澄さんの役柄にはやはり機能的な部分を多く求めてきました。
すでにご紹介の通り、彼女は二章の縦糸を舞台裏より引いてきた人物です。




昭乃 「何も悪いことはしてないわ」




しておりません。
ですが、結果的に表舞台の方々をそれぞれに駆り立て、自らもまた決着していきました。
ある意味、二章出演の主要人物にて具体的に決着していない、あるいはし損ねたままでいるのは、
昭乃さん、貴女ひとりくらいのものかも知れません。




昭乃 「…………」




仰る通り、翔君に纏わるしがらみの類はとりあえず始末致しました。
亮子さんにしましても香澄さんにしましても今後差し当たっての出番はございません。
さて、どう致しましょう。




昭乃 「どう、って……」




全てお任せ致しますので。
それなりに自覚もされているようですし。




昭乃 「…………」

























◇     ◇     ◇






…ふぅ。
思いのほか怖かったです。
よほど可愛がられていたんですね、本当に……。




香澄 「はい?」




いえ、こちらの話ですが。
黒衣とて、単に便利に使っていた訳ではないのです。
事実、今回のお話は誰あろう香澄さん自身による “自分探し” な訳ですし、
その辺りをちょうど現在の出来事と過去の思い出とが交錯する形にて描いてみました。
全般に時間軸がやや錯綜しているのは、すなわち “アルバム” へとしまっている最中なのでしょう。




香澄 「これですか? 卒業アルバム?」




はい。
結構な分厚さですね。




香澄 「それはもう。 地味ながら色々ありましたからー♪」




安心致しました。
そうやって普通に開けるようでしたら、きっともう大丈夫でしょう。
“アルバム” 自体作れずにいる方や、作っても開けないでいるような方も、
少なからずおられるはずですから……。






それでは読者の皆さん、三章にてまたお会い致しましょう。

















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