| V.二日目編 |
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幸いお天気にもめぐまれ、歩きやすそうな一日です。 というわけで、今日は歩きます。 朝8時半にホテルのロビーに集合して、まずは朝ごはん。 ざっとガイドを見て、ホテルのある太子駅旺角から一番近い旺角駅からすぐ近くの「倫敦大酒楼」にしてみました。ホンコンでロンドンとはこれいかに。
ところで旧英領だった香港はいまでも名前の読み方が混在していて、MRT(香港の地下鉄)の駅名だけでもそれは一目瞭然。 「旺角」は「ウォンコッ」と読みますが、同じ字を使う「北角」は「ノースポイント」と読むのです。 ちなみに私たちが泊まっているホテルのある「太子」は「プリンス・エドワード」と読みます。どこにエドワードの文字が入ってんだよ。 そんな愉快なMRTで一駅のところに旺角はあります。 ガイドに従って出口を探し、ぐるっとまわってみると、看板を発見。ここ曲がるの?とうろうろしてみると、派手な中華料理屋が……でかい店です。入り口のおっちゃんが「あっちあっち」と指すのに従い、エスカレーターで二階へあがり、席に案内してもらう。 ここはワゴン式です。なんか言いながら来ますが、私たちにはわかりません。 JALのスチュワーデスのお姉さんたちとは違い、一目で私たちを日本人だと看破したお店のおばさんが、日本語で書かれたメニューを持ってきてくれる。ので、近づいてきたワゴンを見て「これある?」と訊いてみる。あとは実際に見せてくれるので、それをいくつ頂戴と言えばOK。ワゴンからお皿を出してもらうと、伝票に書き足されていくシステム。 安いです。 ガイド見たときにも「安い」と書いてあったけど、ほんとに安い。 味はこれくらいなら十分だとわたしは思います。やはり香港のエビは絶品です。行ったらぜひエビ餃子を。追加しようと思ったらワゴンが来ないので、思わずお店の人捕まえて「これ二皿くれ」とせがんでしまいました。 あとは香港に来ると、腸粉(チョンファン)が旨いのが嬉しいなあ。ライスクレープに油の入った醤油をかけて食べるのですが、日本でこれが美味しいところって私あたったことないの。 おなかもいっぱいになったところで、移動。さて今日はどうしましょうか。天気もいいし、ビクトリア・ピークでものぼってみるかなあと思っているところで、王さんに電話かけなきゃと思い出した。 結局「お昼にビクトリアピークのぼってもしょうがないでしょ」と言われたのでそれもそうかと思いなおし、夜に仕事帰りの彼と待ち合わせして、連れてってもらうことにしました。 じゃあ、まずは軍資金から。 昨晩、ホテルに向かう途中のバスの中で1万円ずつ両替してもらったのですが、ホテルでデポジット(保証金)を取られてしまったので、香港ドルが残り寂しくなったので。両替しないとね。 町屋さんが持ってるガイドに「尖沙咀(チムシャツォイ)の重慶大厦(チョンキンタイハー<有名な雑居ビル)のなかにある両替屋がレートがいいらしい」と書いてあった。どうせ尖沙咀行くんだから、そこで両替しよう。 尖沙咀の駅を出て、ぐるっと見回すことしきり。重慶大厦の看板を見つけ、そして1階にひっそりとある小さな両替店を発見。きっとあれよね、ということでレートを確認。確かに昨晩のバスの中よりレートがいい。店番をしているのは、なにか人間からいろんな欲望とか悪意とかを落っことしてしまったかのような、福々しいおじいちゃんでした……ころころと丸い顔に満面の笑顔を浮かべて、数字を日本語で数えながら両替してくれます。わたしは癒されました。もうこれだけで、ちょっとくらいレートが悪くても構わない、というくらい。 「しかし、あんだけ大金もってて、あのおじいちゃん一人でだいじょうぶなのかしら」 「きっと実はカンフーの達人だったりするんだよ」 ありがち!香港映画で超ありがち!と笑ったのですが、別のときに通ったら、たいがいもう1人いました。でも二人だけでも危ないよねー。彼の無事を祈ります。また香港行ったら、彼に両替してほしい。
そんなことを話しながら、次に見かけたのはこれ。郭富城(アーロン・クォック)。
この看板は尖沙咀駅のすぐ近く、ペニンシュラホテルに曲がるちょっと手前のところにあるので、私たちは朝な夕なにこんな彼を眺めながら歩いておりました。それこそ一日に何度も。 帰国したあと、町屋さんから「夢にアーロンがでてきた」という携帯メールがきました。 「向こうに鄭伊健(イーキン・チェン)がいてそっちに行きたいんだけど、上半身裸のアーロンが出てきて『イーキンなんかやめて俺にしとけ』ってせまってくるの……」 死ぬほど笑わせてもらったよ。脳裏にインプリンティングされ過ぎたのね! さて、そんなステキな看板をあとにし、埠頭に向かいます。 MRTでもいけちゃうんだけど、一度はスター・フェリー乗って九龍島から香港島に渡ろうということで。
気を取り直し、今度こそスター・フェリーに乗ります。 尖沙咀から中環(セントラル)まで約8分。確か料金が2香港ドルちょっとなので、40円くらいかな。 天気がよかったらオススメです。
下船。香港島に着きました。 出たところに何軒か店が並んでて、咽喉が渇いたのでマンゴージュースを買いました。 こちらはほんとうにマンゴーが美味しい。日本で飲むと400円くらいするマンゴージュースですが、こちらでなら10香港ドル(約150円)。でもって、甘さがぜんぜん違う。 またここの前通ることがあったら飲もうと思っていたのだけど、機会がありませんでした。残念。 降りたところの雑誌スタンドでまた皆の足が止まる。 私は張耀揚(ロイ・チョン。1964年生まれ。私は香港俳優一セクシーな体型だとかたく信じている<『無間道2』でボスのガードやってた人ですよ)が表紙の男性向けファッション雑誌にひっかかっていたのですが、他の人たちは「ONE PIECE」の広東語版から離れられなくなっている模様。 ここのスタンドのおっちゃんがとっても親切な人で、ニコニコしながら次から次へと商品を出してきてくれるのです。広東語のまったく話せない女7人を相手に、カタコトの英語と指差しだけで意思疎通。 「うーん、ちょっとこれ埃っぽいしなー」と思っていると、奥からきれいなのをさっと出してくれます。わかったよ買っていくよ、オンラインゲーム用「無間道」!<しかし怖くていまだにPCに突っ込めないので、内容は不明。25香港ドル也。 「ところであのおっちゃん、ン・マンタに似てたよね……」 「あ、似てる似てる!確かにそっくりだー!」 『少林サッカー』の監督役ほか、周星馳(チャウ・シンチー)とよくコンビを組んでます。笑うと愛嬌があってかわいいおっちゃんなのですよ、呉孟達…… 次なる目的地は、中環にあるセント・ジョンズ・カテドラル。 事前に「どこか行きたいところあれば」と尋ねたところ、ここ行きたいというコメントがあったのでルートに組んでみました。東アジア最古の教会だそうです。 ちょっとわかりにくい道だったので人に道を訊きつつたどりつく。9月の香港は暑くて歩くのも大変です。涼しい教会につくと、ついみんなして椅子に座り込んでしまう。
それから金鐘(アドミラルティ)駅からMRTに乗って移動。上環(ションワン)駅へ。 まずは文武廟(マンモウミウ)にお参りに行こうと階段をあがっていくと、途中の市場のところで撮影をやっていた。聞こえてきたのは日本語。 見ると、おまえらその年からそんなに濃い化粧塗りたくってどうする気だと言いたくなるような小娘たちが、頭のてっぺんから「これ〜見つけたの〜」「うそ〜、なんとかちゃんすごぉい」「ちょーかわいー」とか、他の国まで来て恥さらさないでくれる?というような頭悪い甲高い声でしゃべっているのを撮っている。 「なにあれ。深夜番組かなんかの撮影?」 「ていうか、誰?」 「知らない」 「携帯で写真撮ったら日本の誰か知ってんじゃん?」 それもそーかと携帯向けたら、近くにいたスタッフに「撮影はお断りしてるので」などと言われる。 あたしが観光に来たとこを、あんたらが邪魔してんだけど。ムッとしたけどそこまでして写真撮りたいようなかわいい子もいなかったので、引き下がる。 「で、あれ誰なの?」 「モー娘。ですが」 モー娘。を認識できない日本人がいたことに向こうのスタッフも驚いたようだが、こっちも驚いた。私たちが知ってるのは全部脱退したようだ。7人いて、ひとりもモー娘。が認識できない私たち。 「ま、小娘には興味ないしな。美人ならともかく」 さっさとあがって文武廟へ。ここは香港最古の寺院です。頭上から吊るされた巨大な黄色い渦巻き型の線香が圧巻。じりじりと燃えていって、古いのはほんの二周くらいしか残っていない。 「あの灰はどーなるんだろうな……」 とぼんやりと頭上をみあげて考えていたら、目の前にボトッと落ちてきた。うぉ。驚いた。参拝するときには気をつけましょう。 さて、うるさい小娘たちもどっか行ったようだし、ショッピングです。 ここの文武廟の辺りはマーケットになっていて、アンティークを扱う荷李活道(ハリウッド・ロード)と、ガラクタ雑貨を扱う摩羅上街(キャット・ストリート)があります。わたしらは予算的にキャット・ストリートに向かい、時間を決めて待ち合わせすることにしました。 通称「泥棒市場」というだけあって、誰が買うんだという謎のグッズも多く。
そんな恐ろしいものはほっといて、わたしは古銭に夢中です。 最初に見つけたのは、中華民国のもの。500円玉よりさらに2回りくらい大きい持ち重りのするもの。普通のバージョンと開国記念かなんかで柄が違うのとあって、店番の愛想のいいおばあさんに電卓片手に「いくら?」と訊いてみた。 「1枚15ドル」というのを「2枚買うから1枚10ドルにならない?」と交渉してみたら、あっさり「いいよ」と袋に入れてくれた。 次に向かいの店に行くと、やっぱり古銭がじゃらじゃらと積まれている。ひっくり返してみると、今度は「光緒」「宣統」と刻まれたのを発見。おお、まだ西太后が生きている時代だ!これいくらー?と訊いてみると、愛想の悪いおっさんは「20ドル」と言う。 「高い。向かいは10ドルだった」 「じゃあ15」 「ダメ。二つ買うから20ドル」 半分舌打ちしそうな勢いだったが、それでも袋に入れてくれたので、私の勝ちです。隣で町屋さんが笑ってます。 だってガイドにも「ここではまず値段交渉から」ってあったじゃん。 さらに隣に移動すると「大清銀庫」とかなんとか刻んであるのを発見。 ここは小さな天然石をくりぬいた指輪がいっぱい売っていて、他の人たちもここでちょうど買い物を終えて出てくるところでした。 「値引きしてくれた?」 「言ってみたけど、ダメですって。定価で買った」 ふーん。とりあえず交渉してみっか。ここの店主はいままでで一番英語が通じました。 「このコインなんだけど、いくら?」 「20ドル」 「高い。隣では10ドルだった」 「それはきっと隣のコインはもっと小さいからだ」 「そんなことはない。比べてみるか」 取り出して重ねてみたら、現在交渉中のコインの縁の環のなかに前のコインがすっぽりと入るサイズ。確かにちょっとだけ小さい。 「ほら、やっぱり小さ……」 「Not so different.(そんなに変わらない)」 だから10ドルだ。そう言って譲らない私に彼は諦めたようだ。 「OK。10ドルだ」 「ありがとうありがとう。ところでこの指輪はいくらであるか」 「45ドルである」 「高い。40ドルにせよ」 「しかしそれは銀製品でほら細かいところもちゃんと彫ってある」 「よくわかる。カエルがキュートだ。で、40ドルでどうだ」 「しかしこれは銀製品で」 「それはもう聞いた。わたしはいまコインを一枚買った。だから40ドルだ」 さっき散々交渉してディスカウントさせたことを棚に上げ、断固として「二つ目なんだから値引きしろ」と言う私に、店主は諦めたように「OK」と呟いた……隣で「アネゴ、ひどいよ」と町屋さんが死ぬほど笑っている。 <しかしちゃっかり「彼女にはディスカウントしたよね、わたしには?」と値引きさせた彼女も人のことは言えないと思う。 そう。私は値引き交渉得意なのである。特に中華圏で。 高校時代、修学旅行で北京に行き、ガイドさんから「とにかく定価で買ってはいけません」と叩き込まれた私は、その薫陶よろしく、とにかく値引き交渉ではねばりにねばる。 なにせ、十年前にマカオに行ったときには、香港人のガイドに「あなた、中国人並み」と褒められた(あるいは呆れられた)くらいだ。 その後、学生時代の研究室でもゼミ旅行で北京に行った。 マーケットでは後輩の女の子(彼女も気が強い)と闘い抜いた。 考えてみれば、香港で20ドルは300円。決して高くない。日本の物価からすれば、だ。 しかし、何がなんでも値引きしないといけないような気になるのである。薫陶が生きているというか、三つ子の魂百までというか。 最後の待ち合わせの場所(さっきTV撮影してたとこ)の前の店が、天然石を使って紐を編んだネックレスやブレスレットの店。 すごくかわいいので、会社の同期の子たちの土産にしようと自分の分とあわせて山ほど買い込んだ。
結局、定価が720香港ドルのところを630香港ドルまで下げました。まあまあかな。 ちなみに値切るコツは、なにかが交渉まとまったところで、「ありがとう。ところでこれはいくら?これも買うからあわせていくらにまけてよ」と、どさくさにまぎれて、さっき下げさせた値段をさらにディスカウントさせることです。 あとは、最終的に折り合うにしても、最初は値段を低めにつけることと、なによりも諦めないことです。相手の口上に負けず「わたしはこの値段では買えない」と主張すること。 だいたい香港のマーケットは「高い。これじゃ買えない」と言うと「じゃあいくらならいい?」と電卓出してくるところが多いので。まずは交渉してみましょう。 また上環駅まで戻り、お昼御飯もまあ食べてないからなんか食べに行こうということで、尖沙咀へ。 おそらく日本でもっとも有名な香港の飲食店「糖朝」に行くことにしました。 最近日本でも何店舗か出店してて、わたしも表参道で一時間くらい並んで入ったことがあります。 人数多いしおやつどきだから混んでるかな、と思っていたら、意外にあっさり座れたので拍子抜け。お昼どきはものすごく混むらしいですけどね。
やっぱり日本の店舗より香港の本店の方が断然美味しい。 特にそれはエビワンタンの入った麺で歴然。エビの扱い方がぜんぜん違うので。 それに値段。日本で食べると大変高いです。あのエビワンタン麺でも1000円くらいするけど、こちらでは甘いものと軽食(麺とかお粥とか)あわせて8品か9品か取ったけど、一人500円くらいだったもんね。 しかしトイレに行こうとしたら思いっきり厨房脇を示され、トイレ行く私の横のテーブルで若い男の子が一心不乱にエビを剥いてたのにはどうかと思った。いいのかこんな頻繁に客が通るところが雑然としてて……。 おなかも落ち着いたところで、一度解散することにしました。 ショッピング行きたい人、休みたい人、いろいろいるだろうし。 6時に王さんと待ち合わせなので、そこの改札で集合することに。 さて、どうするか。あと2時間くらいあるんだけど。 町屋さんと相談した結果、「ペニンシュラホテルにあるハンコ屋さんに行こう」ということになりました。<ペニンシュラ・アーケード内「タンズ(Tang's)」。 地下からぐるっとあがって、途中でわたしが宝飾品店屋のディスプレイにひっかかったりしつつ(「一か月分の手取り払う気になったら買えるかな…」とか)、到着。 色とりどり、値段もとりどりの印材のなかから好きなのを選び、書体を選んで彫ってもらう。イラストとかをつけるとまた別らしいけど、ふつうに名前だけなら彫り賃は100ドルで済むので、あとは石をどうするかだけです。 最初は町屋さんの買い物にくっついてきただけだったのですが、色鮮やかな石が並んでるのをみて私がおとなしくしていられるわけもなく。手にとって眺めてるうちに、「うっ、これ綺麗……」と一目惚れをする。 ターコイズ。要するにトルコ石です。 鮮やかな水色に黒の斑の入り方もきれい。ここの印材はまるごと石を切り出したものなので、このずしりと重いの全部ターコイズですよ。贅沢〜。お値段もそれなり、定価は2800ドルですが、ここの取材をしたガイドブックを持っていたら3割引きに。それでも25,000円弱。紐通して首からハンコ提げて歩きたいような値段です。そりゃまあカード使えば買えない額じゃないですよ。ただ、ひとつ問題が。 「直径がでかすぎるのよ………」 どう見ても会社の社長のハンコよりでかいよこれ。実印はもう登録しちゃってるし、そんな滅多に使わないものに高い金かけてもしょうがないし、会社で使うハンコにしたかったの。 でも絶対社長のハンコよりでかい。無理、これでりん議は書けない。だってあたしサラリーマンだから! やっぱりわたしにはこの450香港ドルのカエルつき緑瑪瑙くらいがお似合いなのかもしれないわ……いやいやでもターコイズ……でもなー値段と直径がー、いやしかし会社で他に誰もこんなの持ってないよ?(当たり前だ)、ああんどうしよう。とか思ってるうちに「アネゴ、そろそろ時間やばいんだけど」と町屋さんに促される。げっ、ほんとだ。今日中に頼まないと香港いる間には受け取れず、迷いに迷って、なぜかぜんぜん関係ない黒地に白を流した黒瑪瑙で衝動的にオーダーしてしまう。 いいんだ、きれいだったんだもん。これも一目惚れしたんだもん……(気が多い)。 なぜか私のより安い値段のを町屋さんが頼み(「だって、イヌがこっちの方がかわいかったんだもん」<印材のてっぺんに動物が彫りだしてある)、なんとなく納得いかない気持ちで、金鐘に移動。 一年ぶりの王さんに連れられて、ビクトリアピークに向かいます。 まだ夕方6時の香港の空は明るくて、夜景見られるのかしら?と思いながらも、てくてく坂をのぼって歩いて、ビクトリアピークにのぼる電車・トラムへ。<MRTの駅からは少し離れてます。 トラム、初めて乗った人はふつうびっくりします。 車窓から、あり得ない角度でビルが生えてるから。 もちろんビルが間違っているのではなく、わたしたちの乗るトラムが普通日本人なら考えない角度でまっすぐにあがっていくからです……ビル対比で斜め40度くらいかな体感的には。 しかもなぜか途中に時々駅があり(なにか補修をしたりするときのためだそうです)、そこに止まる……のですが、一瞬後ろにずるっといったような感覚が……日本人ならこれ、迂回するとかなんかするよ、こんな真っ直線には作らないよ。おそろしいことに100年くらい前からあるそうです。どうやってつくったんだこれ。 高所恐怖症の人は、あまり外を見ないほうがいいと思いますが、普通はやはりオススメは窓の側。 行きは上に向かって右側、下りは下に向かって左側の席がオススメです。 あがったものがそのままずりずりと下に降りていくだけなので、降りるときは背中から降りて行きます。 ほんとうにこれで事故は起こらないんだろうか、とか、そういう心臓に悪いことは、地上に下りてから考えた方がいいと思います。ほんとうに怖いから。
またトラムのなかで「ほんとうにこれは事故が起こらないのか」という不安を考えないようにしつつ、斜めになった夜景鑑賞。 どれくらい斜めか写真撮りたかったんだけど、やっぱり動いてるなかで撮るのは難しいです。残念。 地上に下りてから、王さんが「この人数だと、最初考えてたとこはむずかしいかなー」と、大人数でもOKな庶民的なとこに行こうと言ってくれたので、ついていく。 バスに乗って(残念ながら二階席はすでに満員でした。やはり観光客には人気らしい)MRTに乗り換え、銅鑼湾(コーズウェイベイ)へ。そごうがあるショッピング街ですね……確かにすごい人出。 連れていってくれたのは、ショッピングセンターのなかにある「百里鮮海鮮火鍋酒家(EVER FRESH SEAFOOD RESTAURANT)」ってとこ。店の前に水槽があって、なかに得体の知れない貝がいる……どう得体が知れないかっていうと、二枚貝なんですが、本体がその倍くらいびみょーんとはみ出してて、紐でくくってある辺り。あれは無理だろう収納するのは。 そんな店です。当然、英語や日本語のメニューはありません。 「どうする?明日が中秋節だから、特別コースもやってるよ、すごく量多いと思うけど。それともアラカルトで取る?」と王さんが訊いてくれて、相談した結果、コースにしました。簡単だし、単品で取るためにいちいち王さんにメニュー説明してもらうのも大変だし。 コースを頼むとしばらくして、ガラスのコップと小皿、それに箸と温かいお茶が運ばれてきます。 王さんはそれを手にとると「このお茶をこうして、ガラスのコップに注いで……」といいました。え、ガラスのコップにそんな熱そうなお茶注いでいいの? 「洗います。」 そう言うと、がしゃがしゃとコップの中で箸をすすぎ始めた。え?洗う? みんなでしばし呆然としてると「洗わなくてもいいけど、洗う人多いよ。ほら隣のテーブルも」……確かに隣のテーブルではおじいさんがお茶を食器に注ぎ、右手できゅっきゅっと洗ってました……あの、それは貴方の右手がきれいでないと逆効果なのでは……と思ったが、郷に入っては郷に従え。みんなでガチャガチャチンチンと音を立てて食器を洗い出す。 「で、このお茶は?」 「お店の人が捨てる入れ物もってくるよ。ほら来た」 ……確かに。本当に一般的な仕草であるらしい。そういや小説読んでても食器にお茶入れてちゃっちゃと箸で洗って地面にぽいとお茶を捨てるという仕草があったっけ。あれは別に屋台だからではなかったんだ。と変なことを納得する。
見た目に反して意外に好評でした。揃ってアヒルの足に手づかみで噛み付いてる写真もあるのですが、お見せできないのが残念です(笑)。 私たちだけだと食べないよね、こんなの。 地元の人に連れてきてもらったお店は美味しいです。 デザートのフルーツまでいただいて満足満足。というか、下向けません、苦しくて(笑)。 ちなみにこちらのコース、8人〜10人用(だから8人で食べたら多いのは当たり前なんだけど)で1,188香港ドル。8人で頭割りすると、日本円で1人2,300円てところかな。フルコース食べてこの値段だからリーズナブルです。おいしかった。ご馳走様でした〜。 「ショッピングするならこの辺りよ、あそこカメゼリーおすすめ」とざっと銅鑼湾の辺りを案内してくれた王さんは、「明日から休暇で中国戻るからそろそろ」と言いました。それでももう10時半まわってるし。 「これ、お土産。月餅。美味しいけど冷蔵しないとダメだから日本に送れないの残念だから、せめてはるか(仮名)さんみんなと食べて」とお土産をくれました。 よくよく聞いたら、日本から来た取引先の接待(<とは言っても、もとうちの会社から転職してった人なのですが)を蹴っ飛ばして来てくれたんだそうです………O支店長だけが接待に行っているそうな。げ。それ聞いてない。 彼の最後の言葉は「次来るときはもっと早く連絡するよ〜」でした。 ……ゴメン、ほんとにゴメンね王さん!東京で店セレクトして待ってるから! そんな彼を見送りつつ、ホテルに帰る組とまだ残る組(=私と町屋さん)で別れることに。 だってこんな繁華街でしょ。あるに決まってるじゃないですか………VCD屋が。 香港映画迷の私たち、夜11時だろうと煌々と電気のついている街を適当に歩きだす。 途中で書店を発見し、「なんか雑誌あるかね」と入ってみたのですが、そこは書籍専門なのでした。 しかし「武侠小説コーナー」を発見し、棚の前で二人して身悶え。 「古龍の『陸小鳳伝奇』が全部揃っとるー。ほしいー」 「古龍の『流星胡蝶剣』があるー。ほしいー」 問題は私たちが中国語が読めないことです。 日本ではなかなか古龍は翻訳が進まないのでした。買って帰ってもいいけど、賭けてもいいが私は読まないと思う。もうちょっと古龍への愛着と中国語の素養がある町屋さんも「バラ売りならまだしも、7冊セット売りは厳しい……」と二の足を踏み、二人して後ろ髪を引かれつつ店を出ました。いつか日本語で刊行される日を心待ちにしております。 そして、ありましたよやはり。VCD屋が。 中国語圏でしか流通していない媒体、VCD。 香港に駐在していた会社のTさんにその話をしたら「あんなマイナーな媒体を知ってるとは」と驚かれました。でも安いんだよねー、画像は粗いしDVDに比べたら機能は低いけど、こちらで買うと20ドル弱で買えます。映画1本、300円で観られるんだよ! しかし日本で輸入業者を通すと、1本2,000円以上に値段が跳ねあがるのです……それが300円。これを買わずしてなんとする。 そこの店は俳優別にVCDが並んでいました。 「社長(=町屋さん)、イーキン買って帰らんと。ネタだから。絶対日本に売っとらんのにしとけ」 「えー……」 という会話のもと、選ばれたのはこの1枚。
「アネゴ、黄秋生(アンソニー・ウォン)買わんと」 「んーどうしようかなー」 「ほら、『八仙飯店之人肉叉焼飽』あるよ」 「いらん。そんなもん、二回も見たらもー十分だっての」 「えー代表作なのにー」 「忘れてくれ。あ、『古惑仔』外伝で「飛(フェイ)兄貴編」が出ている。これにしよ」<黄秋生主演。 なぜ私がこんなに彼のことが好きなのか、誰かに教えてほしいくらいだ。 「ぷっ、アネゴみてよこの呉鎮宇(ン・ジュンユー)」 「わー、かなり額あぶなくなってますな」 どうやら刑事モノらしいが、いまいちダメそうな刑事っぷりなのだ。頼りないっていうの? 彼は香港で脇役として出まくっている役者である。昔、竹中直人が「日本のン・ジュンユー」として紹介されたことがあるらしい。まあそんな位置づけの役者です。 「でも眼鏡かけてるよ、ジュンユー。眼鏡っ子だよアネゴ」 「そうだなー、とりあえず人に見せたい気持ちはある……」 彼は『インファナル・アフェア(無間道)2』で、ボスのハウをやっていた役者だ。 劉徳華(アンディ・ラウ)と梁朝偉(トニー・レオン)の二人が出ないので、なかなか周囲の人たちが見てくれない。しょうがないので私は宣伝手段を変えた。 「ボスが眼鏡っ子です」 ……本当にこれで観てくれる人がいるのが驚きですが、かなりいい眼鏡っ子であったようです。 <逆に『無間道3』の黎明(レオン・ライ)はダメだったようです。その違いが私にはよくわからないのですが……。 しかしそのために私が買って帰るのはイヤだ。共演が張家輝(ニック・チョン)じゃん。社長が買って帰んなよ。痩せてるよニック。それだけで笑えるでしょ。 そんな押し付け合いをしているとき、こんな一枚を発見してしまった。
ダメだ、やはりこれこそ買って帰って人に見せねば!あのクールなマフィアのボスやってたジュンユーのこんな姿こそ見せないと!……というところまで二人の意見は一致したのですが、問題がひとつ。 「で、どっちがこれ買って帰るの?」 たかが19香港ドル、300円もしないのですが、もはやこれはプライドの問題。 何が何でも相手に押し付けたい。 葛藤のすえ、さっきのヘタレ刑事モノとこれと、どちらかが1枚ずつ買うことにしました。じゃんけんで。 「なー、社長。三回戦にしようよー。ちなみにあたしが買ったら絶対この『ヒゲ』は買わん」 そう宣言した挙句、わたくし三本ストレート負けしました。というわけで、上のVCDは私の部屋にあります。観たい人はぜひどうぞ。私にはまだ観る勇気がありませんが。 アホみたいに夜に1時間以上もVCD屋で笑い転げてたら、日付がもう変わりかけてます。帰らなきゃ。 MRTに乗って帰る途中、「そういやアネゴさー」 「今日、いっぺんも酒飲んどらんなー」 そう。そうなのよ。王さんに「ビール飲みたい」って言い損ねたんだよ………帰りにビール買っていい? ホテルの近所のセブンイレブンでビールを買って帰りました。よく歩いた一日でした。 |
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