路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
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49.レトロな赤の標語


赤電話 かけて安心 旅の宿

赤い公衆電話が活躍していたのは随分前のことになる。ここは城崎温泉。兵庫県の日本海側になる。今なら京都あたりからでも日帰りできるが、特に冬場は、一度来てしまうと泊まるしかない時代もあった。宿に着いて家に電話しておくと、お互い安心できた。

しかし、宿泊客の中には、誰にも伝えず湯の町にやってきた人もいたかもしれない。薄暗い廊下にぽつんと置かれた赤電話を視界の片隅に捉えながら、静かに通り過ぎるワケアリ風の浴衣美人。ひなびた温泉宿の必須アイテムとして、ひそかな人気があったとしても不思議ではない。

旅先の赤電話。時にそれは、人と人とを結ぶ命綱にもなり得た。何かにつながっているという感覚が少しでもあれば、その人は、いつかきっと、日常に還っていけると思う。

一人旅は女性の方が絵になるが、困ったとき独りになりたくなるのはむしろ男性の方だという。本日は21世紀。電波にまとわりつかれる時代。休日といえども、ケータイの電源を切ってると怒られる。メールチェックも必要だ。ちょっとパチンコに行ってると、つながらなかったと文句を言われる。日常から離れるのも一苦労だ。

家にいても、黙ってると妻に愚痴られ、トイレにこもると娘に嫌われる。世のお父さん達の居場所がいよいよ少なくなってしまった。もし家のお父さんが、テレビ見ながらぽけーっとしてたら、そーっとしておいてあげましょうね。

2003年2月 兵庫県豊岡市城崎町

(2004年1月24日作成)

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