教育の目的を「皇国民の育成（錬成）」と明記すると共に、条件付きながら義務教育の修業年限を高等科を含む八年に拡大しました。
それまで尋常小学校、高等小学校であった呼び名を、
国民学校初等科、高等科に改めました。
第一条
「国民学校ハ皇国民の道ニ則（のっと）リテ初等普通教育ヲ施シ、国民ノ基礎的錬成ヲ為スヲ以テ目的トス」。
第二条
国民学校ニ初等科及び高等科ヲ置ク、但シ土地ノ状況ニ依リ初等科又ハ高等科ノミヲ置クコトヲ得。
第三条
国民学校ノ修業年限ハ六年トシ、高等科ノ修業年限ハ二年トス。
以下省略
国民学校令施行規則
昭和十六年三月十四日公布
第一条
国民学校ニ於テハ国民学校令第一条ノ趣旨ニ基キ、左記事項ニ留意シテ児童ヲ教育スベシ。
- 教育ニ関スル勅語ノ趣旨ヲ奉戴シテ教育ノ全般ニ互リ皇国ノ道ヲ修練セシメ、特ニ国体ニ対スル信念ヲ深カラシムベシ。
- 国民生活ニ必須ナル普通ノ知識技能ヲ体得セシメ、情操ヲ醇化シ健全ナル心身ノ育成ニ力（りき）ムベシ。
- 我ガ国文化ノ特性ヲ明（あきらか）ナラシムルト共ニ、東亜及世界ノ大勢ニ付テ知ラシメ、皇国ノ地位ト使命トノ自覚ニ導キ、大国民タルノ資質ヲ啓培スルニ力（りき）ムベシ。(後略)
教科及科目
第二条
国民科ハ我ガ国ノ道徳、言語、歴史、国土国勢等ニ付テ習得セシメ、特ニ国体ノ精華ヲ明（あきらか）ニシテ国民精神ヲ涵養シ、皇国ノ使命ヲ自覚セシムルヲ以テ要旨トス。
皇国ニ生レタ喜ヲ感ゼシメ、敬神、奉公ノ真義ヲ体得セシムベシ。
我ガ国ノ歴史、国土ガ優秀ナル国民性ヲ育成シタル所以ヲ知ラシムルト共ニ、我ガ国文化ノ特質ヲ明（あきらか）ニシテ、其ノ創造発展ニ力（リキ）ムルノ精神ヲ養フベシ。(後略)
第三条
国民科修身は教育ニ関スル勅語ノ趣旨ニ基キテ国民道徳ノ実践ヲ指導シ、児童ノ徳性ヲ養ヒ、皇国ノ道義的使命ヲ自覚セシムルモノトス。（後略）
第五条
国民科国史ハ我ガ国ノ歴史ニ付テ其ノ大要ヲ会得セシメ、皇国ノ歴史的使命ヲ自覚セシムルモノトス。初等科ニ於テハ肇国（チョウコク、はじめて国を建てる）ノ広遠、皇統（天皇の血統）ノ無窮（ムキュウ、きわまりの無いこと）、歴代天皇ノ鴻業（コウギョウ、大きな仕事）、忠良賢哲ノ事蹟、挙国奉公ノ史実等ニ即シテ皇国発展ノ跡ヲ知ラシムベシ。
以下省略