紀元二千六百年の勅語

(正式には、時難克服の詔書)

注:1
勅語の文体は、濁点、句読点の無い カタカナ混じり文ですが、読みにくいので句読点、段落を加えました。

注:2
難しい言葉には、括弧内に読み方と意味を入れました。

注:3
勅語、詔書、詔勅はいずれも同じで、天皇が国民に対して発表する意思表示の言葉や文書の意味です。




神武天皇惟神 ( イシン、神ヲ思う ) ノ大道 ( ダイドウ、人としての正しい道 )ニ遵 ( シタガ ) ヒ、一系無窮 ( イッケイムキュウ、同じ血統ガ永遠ニ続く ) ノ宝祚 ( ホウソ、天皇の位 ) ヲ継キ、万世不易 ( バンセイフエキ、永久に変わりのない ) ノ丕基 ( ヒキ、大きい基礎 ) ヲ定メ、以テ天業 ( 天皇が国を治める事業 ) ヲ経綸 ( ケイリン、国を治め整え ) シタマヘリ。
歴朝 ( 歴代ノ朝廷 ) 相承 ( アイウ ) ケ、 上 ( カミ、天皇 ) 仁愛ノ化 ( カ、徳による教え導き ) ヲ以テ下 ( シモ、臣民 ) ニ及ホシ、下 ( シモ ) 忠厚 ( チュウコウ、忠義ニ厚い ) ノ俗 ( ゾク、習慣 ) ヲ以テ上 ( カミ ) ニ奉シ、君民一体以テ朕 ( チン、天皇の一人称 ) カ世ニ逮 ( オヨ、及び ) ヒ、 茲 ( ココ ) ニ紀元 二千六百年ヲ迎フ。
今や非常の世局 ( セイキョク、世上のなりゆき ) ニ際シ、斯 ( コ ) ノ紀元ノ佳節 ( カセツ、めでたい日 ) ニ当ル、爾 ( ナンジ ) 臣民、宜シク思 ( オモイ ) ヲ神武天皇ノ創業ニ騁 ( ハ、馳せ ) セ、皇図 ( コウト、天皇ノ意図 ) ノ高遠ニシテ皇謨 ( コウボ、天皇の計画 ) ノ雄深 ( ユウシン、大きく深い ) ナルヲ念 ( オモ ) ヒ、和衷 ( ワチュウ、心の底からうち解ける ) 戮力 ( リクリョク、協力 ) 益々国体の精華 ( セイカ、最も優れている所 ) ヲ発輝シ、以テ時難 ( ジナン、困難な時 ) ノ克服ヲ致シ、以テ国威ノ昂揚ニ勗 ( ツト ) メ、祖宗 ( ソソウ、代々の天皇 ) ノ心霊ニ対 ( コタ ) ヘンコトヲ期スヘシ。

御名御璽 ( ギョメイギョジ、天皇の署名と天皇の印鑑 )
昭和十五年二月十一日
各大臣副書

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