MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・手習・  
  え〜、さて、浮舟ちゃんなんですけど、あの〜、実は、生きてんですよね。
死んでないの。
てゆーか、そもそも入水しなかったの。(^_^;)
いっ、いや、その決心だったんですよ。いちおー、ちゃんと(?)入水自殺する決心は、あったんです。
でもさー、夜中に山荘を抜け出したはいいけど、こちとら家から殆ど出たことがない姫君じゃん?
どっちに行ったらいいかわかんなくてさー。
フラフラしているうちに、気を失ってしまったのですよ。気を。
ハハハ…。
そこを横川の僧都<よかわのそうず>という坊さんに発見された浮舟ちゃん。
そのまま彼の妹尼<いもうとあま>に引き取られ、手厚い看護を受けることになります。
妹尼は、先ごろ娘を亡くしたばかりだったので、仏のご加護で浮舟を得たのだと信じて、大切に大切に世話をします。
浮舟はしばらく半死半生で寝たきりだったのですね。
横川の僧都の祈祷だなんだのおかげで、ようやく正気を取り戻した浮舟ですが、身元を聞かれても、
「何も覚えていません」
と記憶喪失のフリをします。
さて、こうして小野の妹尼のところに居候することになった浮舟ですが、やっかいな事に、やたらと妹尼に溺愛されます。いえ、ありがたいんですけど。ちょっとウザいかなー、なんて…。
しまいには、妹尼の亡き娘婿の中将に見初められ、妹尼浮舟と彼との結婚を望みだす始末。
だからもう、いいっつーの。男はコリゴリ。
『思えば、匂宮<におうのみや>さまになびいた軽い自分の心が恨めしい。どうしてそんな浅はかな事をしたのかしら。ああ、嫌な思い出。それに引きかえ、の殿は、薄情なようでいて、細やかな実のある愛情を寄せて下さった…。それがわからなかったわたくしが、馬鹿だったのだわ。今となっては、思い出すのはさま…。いつか遠くからでもお姿を拝する折もあるかしら……』
でも、だからと言って、今さらとどうこうとは思いません。
ひたすら、この憂き世を捨ててしまいたい気持ちで一杯です。
妹尼にバレると止められるだけなので、彼女の留守中に横川の僧都に、
「出家させて下さいまし」
と泣きつきます。
まあ、道心を起こしている者を止めるのも何ですので、浮舟の美しさに多少のもったいなさを感じつつも、髪を下ろしてあげる僧都です。
ああ、サッパリ!!!(^ー^)
生きてきてよかった!
その事を知って、妹尼も、言い寄っていた中将も、ガッカリです。
でもまー、出家しちまったモンはしょうがない…。トホホ…。
ところがですね、ここまで来て、思いもかけない展開になってしまいます。
実はこの横川の僧都、都でも評判の貴い聖<ひじり>だったのです。
明石中宮<あかしのちゅうぐう>も懇意にしてまして、女一の宮<おんないちのみや>の病気の祈祷をしてもらうために宮中へ呼んでいました。
そもそも、僧都が小野の家に立ち寄ったのも、ここへ来る途中のことだったのです。(いつもは山で修行している)
僧都は世間話のついでに、宇治で拾った女君のこと、彼女が出家したことなどを中宮に語ります。
……宇治?………この春ごろ??
の想い者がこのほど行方知れずになったこと、そしてその件に我が息子・匂宮が関わっていたらしいことなどを、どこからともなく聞いていた明石中宮はピンときます。
「もしや……」
しかし、たしなみある女性として、騒ぐようなことではないので、暫く胸に秘めていました。
そして、浮舟の一周忌も終えた頃、ちょうど中宮のもとへやって来たに、女房(<にょうぼう>=高級侍女)からそれとなくその話を伝えさせます。
衝撃の
浮舟が、あの浮舟が、生きている……!?』
の心は乱れに乱れます。寝ても覚めてもこの事ばかり……。
聞けばもう尼になったとか。
それでも、どうして会わずにおられましょうか。
とにかく、一度小野に行ってみなければ……。
 
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