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| ・鈴虫・ | ||
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またまた年が明け、源氏も50歳になりました。 孫もバカスカできてますし、往年の二枚目もいいオッサンです。 女三の宮<おんなさんのみや>は今24〜25歳。美しい盛りの宮を見ると、今更ながらに恋心が湧いてきて、大切に世話をする源氏です。 朱雀院<すざくいん>は、女三の宮に譲った三条の邸に彼女を移した方がいいのではないか、と言うのですが、源氏は惜しくて手放せません。 そんなこんなで秋になりました。 鈴虫の音が美しい頃です。源氏はそんな虫の声をバックミュージックに、尼となった女三の宮にアダめいた事を言いかけては彼女を困らせています。 『いっ、今更…。あの時あんなに嫌味タラタラ冷たくしたくせに…。ああ、わずらわしい。いっそ山寺にでもこもってしまいたい…』 女三の宮はコッソリそう思います。そりゃそーだ。 十五夜の月を愛でながら、そんな風にして過ごしていますと、蛍兵部卿宮<ほたるひょうぶきょうのみや>、夕霧をはじめ、その他諸々の公達(<きんだち>=若い貴族)がドーーッと押しかけてきました。 「今日は十五夜だから、きっと六条院でも月見の宴をするダロー」 と踏んで来たのです。 そうするってーと、他の貴族たちもワラワラと集まり始め、管絃などが催される六条院なのでした。 そんな噂が夜の京を走ったのでしょう、今は帝の御位<みくらい>を降りられた冷泉院<れいぜいいん> から、 「どうせなら一緒に月を見ない?」 てなお誘いの手紙が来ました。 「これは恐れ多いこと」と、にわかにお忍びで冷泉院に参上することにした、源氏以下多数です。 そして皆で一晩中ドンチャン騒ぎましたとさ。 ※二千円札の裏に描かれているのはこのシーンを描いた国宝『源氏物語絵巻』の一部分です。ただし、ここは原典では明確に表現されていない宴席を絵巻がオリジナルにアレンジしたもので、大蔵省が「わが国古典の最高峰『源氏物語』を絵画化した『源氏物語絵巻』」を用いたかったのか、「国宝『源氏物語絵巻』そのもの」を用いたかったのか、その趣旨が不明確であると いえるでしょう。明けて翌日、源氏は冷泉院まで来たついでに、秋好ちゃんにも挨拶をして行くことにしました。やっぱ源氏の養女格なこの人ですから。 さて秋好中宮<あきこのむちゅうぐう>は、実は心中密かに出家したい気持ちを高めていました。 それと言うのも、あの折、母・六条御息所<ろくじょうのみやすどころ>の死霊が紫の上にとりついた噂などを漏れ聞いていたのです。源氏は黙していましたが、こういう事はどこからか漏れるものです。 出家して亡きお母様の御霊<みたま>を鎮めたい…。 源氏はそんな話をされて、『さもあらん』とは思いますが、 「ま、ま、そうおっしゃらず。おいおい供養なさるがよろしいでしょう」 といさめます。 思えば秋好ちゃんももう41歳です。東宮の姫として生まれ、早くに父を亡くし、伊勢の斎宮として神に仕え、帰京して後は朱雀院を袖にして冷泉帝に入内、母親の愛人であった源氏を後ろ盾に中宮立后<ちゅうぐうりっこう>、そうして今、母の死霊に思いを馳せる…。目立ちませんが、密かに怒涛の人生を歩んできたこの人の心中とは、どんなもんなんでしょうか…。 それは、月と鈴虫の声だけが知っている…。(←ごめん、作った) はい、お後がよろしーようで♪ |
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