MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・藤裏葉・  
  前回のつづき、夕霧雲居雁<くもいのかり>問題で引っぱります。
時は3月20日の日、ところは京の極楽寺、故大宮の命日に催された法会<ほうえ>で、内大臣夕霧にサグリを入れてみる事にしました。
夕焼けに見とれている夕霧にツツツッと寄って行って、袖をツンツン。
「ねぇ〜、そんなに怒んないでさ。昔の事は水に流してよ〜」
夕霧は突然そんな事を言われてビックリ仰天。
「いえ…。伯父上のお怒りが解けないようなので、遠慮しておりました次第ですが……?」
内心、「なんだ、なんだ!?雲居雁の事を許してくれるのか!?」とドキドキですが、折しも激しくなってきた雨のために、その場はそれきりとなってしまいました。あらら。
そうです。とうとう内大臣は折れてあげる事にしたのです。
だぁって、しょうがないじゃん?このまま行ったら、雲居雁は行かず後家…、いえ、完璧な行き遅れです。
トホホ…。このオレ様が折れて出るってか?ま、ムスメのためだ!我慢しよう!!
てなわけで、セッティングを整える内大臣。行動力のこの人は、こうと決めたら早いです。
4月に入り、庭の藤の花が見事に咲いたのを口実に、宴を催す事にしました。
そこに夕霧も呼ぼうって段取りです。
当日になって夕霧の許に「おいでよ!」という歌が来るのですが、歌意や状況から行くと、ど〜〜〜〜っっ考えても、「許す!結婚許してあげるから!」てな意味が込められているではありませんか!
「ヤ!でも単なる宴会かも…」と疑ぐり深い夕霧くんは思います。
いいからはよ行かんかい!!と源氏にもどやしつけられて、やっと夕霧くんは重い腰を上げました。このコは慎重すぎていけません。
さて、行ってみたら何の事はない、あっちではすっかりCome on Baby!状態です。「おムコさん、いらっしゃ〜〜い♪」ってな感じ。
ああ、皆に祝われて雲居雁と結婚できる日が来るなんて…。
夕霧くんは夢見心地で雲居雁の部屋に入ります。
久しぶりに見る雲居雁は、たいそう美しく成長していて、もう、文句なし!!
「ああ、君に会えなくて辛く長い年月だったよ。今はあまりに幸せで、もう何もわからないくらいだ……!」がばーーっ!
そんなこんなで夕霧18歳、雲居雁20歳にして、めでたくゴールイン。昔、二人の中が引き裂かれてから、実に6年の歳月が経過しています。
結局折れて出た内大臣は悔しい事限りなしですが、その間ずっと雲居雁一筋だった夕霧の事を思えば、今となってはありがたい気持ちで一杯ぱいです。
こうして幼なじみの恋物語はハッピーエンドを迎え、二人は末永く幸せに暮らしましたとさ。ちゃんちゃん。(^_^)
(…とか何とか言って、実は後で波乱がやってきます。それはまたのお楽しみ〜〜(^.^)/~~~)
さて一方、伸びていた明石の姫君の入内(<じゅだい>=後宮に嫁入り)の日がとうとうやってきました。
長年姫を養女として育ててきた紫の上ですが、これを機に一大決心をしました。
姫を明石の御方<あかしのおんかた>に返そう。
源氏もちょうどそう思っていたところだったので、話はトントン拍子に進みます。もちろん明石の御方は大喜び。
二人の母は、共に御所について行き、そこでとうとう対面をする事になりました。
お互いに嫉妬もしました。
姫を挟んで、そして源氏を挟んで、常にまだ見ぬ敵の影を意識してきました。
しかし、顔を合わせてしまえば、どうしてどうしてお互いに素晴らしい女性ではあ〜りませんか!
ああ、この人であった事よ…。
ここにも長年のわだかまりの雪解けはあったようです。(^^)
紫の上は間もなく六条院へ帰りましたが、明石の御方はそのまま御所に残り、姫のそば近く暮らす事になります。
これ以降、明石の御方の生きがいは、明石女御<あかしのにょうご>ただ 一人。やっと心の乾きを満たす事のできた御方です。ヨカッタね!
さて一方、実の父・源氏に親孝行したくてたまらない冷泉帝<れいぜいてい>は、とうとう源氏に准太政天皇<じゅんだいじょうてんのう>の位を贈る事にしました。
准太政天皇。
わかったようなわからないような名前ですが、太政天皇ってのは天皇を引退した院の事です。それに准じるってんだから、つまり源氏はもう臣下ではないのです。
せっかく帝の第二皇子として生まれたのに、政争に巻き込まれてはいけないからと、親王宣下も受けられず、源<みなもと>姓を賜って臣に下った源氏でしたが、ここにきてとうとう臣下の位を離れる事ができました。
源氏、かん・む・りょう……!(^。^;)
内大臣が後任の太政大臣となりましたが、藤原氏であるこの人には、逆立ちしたってこれ以上の昇進はできません。
源氏は以降、院、六条院、と呼ばれる事になります。
長男は天皇。次男は結婚。長女は入内。自分はハーレム・六条院の中で悠悠自適のお優雅生活。おまけに身分は准太政天皇。
光源氏の栄耀栄華、ここに極まれり。
『源氏物語』第一部(と俗に区切られている)、ここにめでたく終了です!!!
次なる展開に乞う、ご期待!
チョン、チョン、チョンチョンチョンチョン……。
 
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