MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・蛍・  
  さて、一度恋心を口にしてしまったら、余計に想いがつのってきて、あれこれ言い寄っては玉鬘<たまかずら>を困らせている源氏です。
玉鬘の方としては、もう、胸がつぶれる思いです。ううぅ。
そんな中、玉鬘の求婚者の一人で源氏の異母兄弟・兵部卿宮(<ひょうぶきょうのみや>=以前の帥の宮<そちのみや>。前の兵部卿宮=紫の上のパパは、式部卿宮になっている)が「姫に会わせろ〜〜!」と言って暴れます。
『コイツが女をクドくとこを見てやるのも、楽しいな』などと、とんでもないことを思いついた源氏は、算段をつけてやることにしました。
ご丁寧に、部屋には香をゆかしく燻らせるという演出つき。
いえ、ホントの演出はこれからです!
夕闇が訪れ、辺りが暗くなった頃を見計らって、源氏は隠しておいた蛍を部屋に放ちます。いけーーっ!こっからが本番だぁ〜〜!
さあ、飛び散る蛍の光に浮かび上がる玉鬘の美しい姿…。
おぅ…。たまりまへんわぁ。(@o@) (By 兵部卿宮)
その後も源氏は、あれこれ彼女に言い寄るかと思えば、「の手紙には返事をしろ」とかどっちつかずなので、玉鬘サイドとしては訳がわかりません。
実は、源氏としては「愛人の一人にしたりするのはやめよーっと」と思ってはいるのですが、いざ姫を目の前にすると、ついつい、ヤバイことをしかけたりして、やっとのことで自制している、という危うい状態なのでした。
もぅ〜、オジさん、しっかりしてーー!
さて、5月に花散里の夏の御殿で夕霧が友達と競射をする、というイベントがありまして、見物に行った源氏は、その日はそのまま花散里のもとに泊ることにしました。
…しかし、この二人はもう、共寝<ともね>はしません。間に几帳をおいて、別々に寝みます。いいんです。この二人は精神的につながっているのです。
あんま、花散里って人は、女性としての魅力に溢れるタイプではないんですね。でも、話しているととても心の安らぐ、優しい人なのです。
そうかと思えば、時にはなかなかスルドイことを言ったり、主婦としての実務に長けていたり(まさか、掃除・選択ではない。染物や衣料のあつらえとか)、源氏にとっては大事な女君の一人です。ダテに、御殿を一つ与えられてはいません。元は大臣家の姫ですし。
さてさて、今年は五月雨がつづいて、うっとおしいので、せめてもの気晴らしにと、六条院では絵物語が大はやり。
ここで源氏の「物語論」が展開されるのですが、つまんないのではしょります。(ちなみに『源氏』研究上はとても大事な箇所です)
さて、所かわって、内大臣家。
源氏の家の玉鬘の噂を聞くにつけ、悩める男が 二人います。
一人は内大臣の長男、柏木の中将です。実の姉とも知らないで玉鬘に懸想しているこの人は、親友・夕霧をせっついて、「何とかせんかい!」とどやしつけます。が、夕霧は知らんぷり。
それどこじゃありません。こっちだって柏木の異母兄妹、雲居雁<くもいのかり>への想いを諦めたわけではないのです。
…でも、夕霧はあの時「や〜〜い!六位、六位〜〜!」とバカにされたのがあまりにも悔しかったので、『ずえぇぇぇったいっにっ!オレの方から折れるもんかぁーー!』と思い定めています。
夕霧くんは、割とシツコイたちなのです。
さて、悩める男、パートUは、内大臣です。
源氏の娘が世にもてはやされてるのが羨ましくてならないんでしょう、『そう言えば、あの時常夏の女(=夕顔)に生まれた女の子はどうしたっけかな…』と玉鬘の存在をにわかに思い出します。
この時代、女の子というのは、非常に貴重なコマなのです。
弘徽殿女御<こきでんのにょうご>は中宮になり損ねるし、雲居雁は東宮に入内させようと思ったのにキズものだし…。内大臣には男の子ばっかりが沢山いて、女の子は今んとここの二人だけなのです。
ああ…どこへ行ってしまったんだ、撫子の姫よ…。
……源氏のとこに、いるよーーー。
 
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