MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・少女・  
  年も明けまして、早、夏です。
源氏33歳。…もういい大人ですね。源氏がいい大人なら、その子供も当然成長してまして、あの葵の上の忘れ形見、夕霧も12歳になりました。
そろそろ元服(<げんぷく>=男子の成人式)のお年頃です。元服をすると、同時に位階を得て宮中に出仕し、サラリーマンとなります。
源氏は最初、夕霧に四位の位をもらうつもりでした。
親王の息子は四位からスタートできるのです。…源氏は親王じゃなくって単なる臣下なんですけど、「まあいいじゃん、固いこと言わないでさ」ってことなんでしょう。
普通の有力貴族の子弟は五位からスタートします。(数字が大きい方が下)
…ところが、源氏は途中で気が変わって、元服後の夕霧を六位にさせました。
この時代、五位より上が殿上人<てんじょうびと>として、一人前の貴族扱いされるのです。つまり六位の夕霧は、カス。
がーーーん!夕霧、大ショック!
なんでえええぇ!?
今まで夕霧を育ててきたおばあちゃん・大宮源氏にくってかかります。
夕霧は今まで、源氏のいる二条院ではなくて、三条の邸で大宮に育てられてました。大宮夕霧を溺愛しており、とーぜん夕霧もババコンです。ちなみにこの大宮ってのは、桐壺院と同腹の妹で内親王です。葵の上頭中将のママ。
その大宮に責めたてられて、源氏は言い訳します。
「いや、こんな幼い者が、内大臣の子息だからといって、周りからチヤホヤされるのはよくない。それよりも大学寮にやって、基礎知識をしっかりとつけさせてやりたいのです。それには高い位など、邪魔です」
そうかあ…。そこまで考えてるのなら、まあ、しょうがないやあね…。
大宮も納得し、結局夕霧は六位の位に落ち着きました。
そして、夕霧は三条の邸から源氏のもとへ引き取られることになったのですが、二条院ではなくて、花散里<はなちるさと>のいる東の院<ひんがしのいん>で暮らすことになります。「花散里をママとして慕えよ」ってことです。大宮のところへ行っていいのは、月に 三日だけ。
あとはカンヅメになって、勉強勉強、また勉強です。「何でボクがこんなこと〜〜!」と思わないではありませんが、根が真面目で我慢強いので、夕霧くんは、頑張ります!
テストにも次々とパスして行きます。源氏も満足です。
さて、宮中では、「そろそろ誰が后になるのか、決めよーぜ」ってことになりました。
候補者は、三人。
まず、源氏の養女、梅壺女御<うめつぼのにょうご>。
次に、右大将(かつての頭中将)の娘、弘徽殿女御<こきでんのにょうご>。
そして、式部卿宮(かつての兵部卿宮。紫の上のパパ)の娘、王女御<おうのにょうご>。
すったもんだの末、結局源氏の後押しする、梅壺女御が中宮に立ちました。
彼女は以前に「秋が好き」と言ったことから、「秋好中宮<あきこのむちゅうぐう>」と呼ばれます。
さて、源氏は太政大臣<だいじょうだいじん>に、右大将は内大臣に昇進しました。
この人は、また源氏に負けちゃったんですね。中宮立后の件で。…可哀相な人だ。
えー、さて、この内大臣、かつての頭中将には、弘徽殿女御の他にもう一人娘がいまして、俗に雲居雁<くもいのかり>と呼んでます。
このコは、内大臣とは離婚した人の娘なのですが、ママは再婚して、どっかいっちゃっいました。内大臣内大臣で、雲居雁のことは大宮に預けて、ほったらかしにしときました。
要するに雲居雁は、両親に見捨てられて、夕霧同様おばあちゃま大宮に育てられたのです。
だから、夕霧とはイトコ同士な上に、幼なじみ。
えー、雲居雁の方が2つほど年上ですね。
二人は幼いなりにも、カワイイ恋心を育てていきました。
ところが、今上(<きんじょう>=今の帝)の中宮冊立に失敗した内大臣は、にわかにこの姫のことを思い出しまして、「よし、次は東宮(<とうぐう>=皇太子)にこの姫を差し上げよう!むおおおお、今度こそ中宮にしてくれる〜〜ッ」と思いを巡らします。
が、そんな矢先に、ふと夕霧雲居雁の噂話を漏れ聞いてしまいます。
まさか、幼い二人に本当に間違いがあったとも思えませんが、一旦他の男と噂が立ってしまった娘を女御入内<にょうごじゅだい>させるわけにもいかないではありませんか。
雲居雁は、はっきり、傷モノです。
「入内がオジャンになった上に、これ以上何かあっちゃたまんねえ」、と内大臣は姫を自邸に引き取ることに決めてしまいます。そうなってはもう夕霧とは会えません。うっ。
そんな折、偶然にも夕霧が大宮邸にやってきました。内大臣が一旦宮中に上がったスキに、 二人はこっそり逢引します。
「ああ、きっと君が恋しくてたまらないよ!」
「わたくしもきっと、同じことよ」
「恋しいと思ってくれるの?ボクを?」
雲居雁は、言葉にできず、コクン、と小さくうなずきます。
…かっ、かわいいーーー!!
ああ、しかしそこへ内大臣が帰ってきてしまいました。 二人は雲居雁を探しに来た彼女の乳母<めのと>に発見されてしまいます。
「まあっ!なんてことでしょう!姫さまのお相手が、六位ふぜいの下っ端役人では、お話になりませんわ!!」
ガーーーーン!!(@0@)
ひ、人が気にしてることを…!
夕霧、大ショックです。
そんなこんなで雲居雁は、連れて行かれてしまいまいた。
さようなら〜〜。(;_;)/~~~
さてさて、今年は源氏のところから、五節の舞姫<ごせちのまいひめ>というのを宮中に差し出すことになりました。
源氏は、惟光<これみつ>の娘で美人と評判のコを差し上げることにします。
五節の稽古をさせようと彼女を二条院に呼び寄せた折、夕霧はふとこの姫を垣間見ます。
うわあ〜…。雲居雁ちゃんと同い歳くらいかなあ…。でも、あのコよりも、もっと綺麗かも…。
夕霧は、雲居雁とは別に、この五節の君(のちの藤典侍<とうのないしのすけ>)にも恋心を抱きつづけることになります…。
やがて夕霧は念願の五位に昇進し、侍従<じじゅう>になりました。雲居雁と引き裂かれてから、既に1年の月日が流れています。
雲居雁とは、その後こっそり文を交わすだけの間柄です…。
一方、源氏は「六条院」という、新しい邸の造営を始めます。
普通の貴族の邸の実に4倍もある馬鹿でかいシロモノで、「そこに女を全員あつめちゃおうぜ」という壮大な計画なのです。つまりハーレム大建設ですね。
そのハーレムが8月には完成し、みんなでそこに引越しをします。
 
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