MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・絵合・  
  さて、本筋です。
六条御息所<ろくじょうのみやすどころ>が源氏に娘のことを頼んで亡くなったのが、源氏、29歳の秋でした。
どーんと時がたって、今は源氏31歳の春です。
やっとこさその娘、前斎宮<さきのさいぐう>が入内(<じゅだい>=後宮にお嫁入り)する運びとなりました。
フラれて悔しい朱雀院<すざくいん>は、これみよがしに豪勢なプレゼントをどっさりよこします。この人にはこのぐらいのことしかできません。
朱雀院の手前、源氏が後見ってのはあんまハデに宣伝してませんが、実質は源氏の養女格での入内です。
さてさて、入内される方の
藤壺の宮源氏の息子 であるこの冷泉帝<れいぜいてい>は、まだ13歳なんですね。対して前斎宮は既に22歳。
…どひゃ〜〜。姉さん女房もここに極まれり。
冷泉帝には既に女御が一人入内してまして、弘徽殿女御<こきでんのにょうご>といいます。…あのイジワル弘徽殿じゃないよ。まだピッチピチの14歳。
彼女はかつての頭中将<とうのちゅうじょう>、今の権中納言<ごんのちゅうなごん>の娘です。
※弘徽殿とか藤壺ってのは、帝の常のおまし所、清涼殿<せいりょうでん>に近いし広いしで、代々有力貴族の子女が入ります。のでやたらと物語には出てきます。
前斎宮は梅壺に入りました。…ので、とりあえず「梅壺女御<うめつぼのにょうご>」と呼びます。そのうちに「秋好<あきこのむ>」ちゃんと名前を変えますが、許してぇ。
※梅壺も清涼殿に近い。
22歳ということで、ビビッていた冷泉くんですが、梅壺が小柄でおっとりとした優しい風情なので、お気に 召しました。
冷泉くんは、弘徽殿梅壺、どっちも大事にしてるんですが、そのうち梅壺ちゃんと趣味が合うことを発見します。
絵です。
一緒に描いたりしてるうちに、段々と梅壺に通うことが多くなって行きます。
きれーなオネエサマが、こう、首をかしげて、「どう描こうかしら…?」と筆を持って遊ばせている…。ううん、ボクちゃん、みとれちゃう!
さあ、権中納言は焦ります。
負けてたまるかーーーっ!
そうだ!それでこそ、かつての頭中将だ!頑張れ権中納言、いけいけ権中納言!(ながいっ!)
権中納言は金にあかせて絵を集めまくり、の興味を 一生懸命引こうとします。
こうなると、梅壺の後見役である源氏だって黙っちゃいません。
こっちはこっちでせっせと絵を集めます。
それがどんどんエスカレートしてきて、宮中で絵が大流行。
そのうち、どーせなら一発ハデにどーーんとやろうゼ!てな企画が持ちあがり、梅壺VS弘徽殿(=源氏VS権中納言)で絵合<えあわせ>をすることになりました。
当時は、○○合ってのをよくするんです。歌合、香合、かわったとこでは虫合…。右と左にわかれて、その優劣を競うのです。
お互いに気合を入れて集めた絵ばかりなので、夜になっても勝負がつかないのですが、源氏方から出てきた最後の絵は、なんと、ななんと、源氏が須磨隠棲の折にシコシコ描いていた、あの絵でした。
いやあ、これを出されちゃ、もう降参です。
源氏は元々絵が上手なとこに持ってきて、あわれな歌かなんかも散りばめられてます。
いやらしいですねえ。「おいらはこんなに不幸だったんだゼ」ってかあ?
…ま、そういう偏見を持たないで、と。とりあえず皆はそれにカンドーしちゃって、これにて源氏方の勝ち〜〜、ということになりました。
ううん、芸が身を助けたね、源氏くん!
 
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