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| ・澪標・ | ||
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さて、朱雀帝<すざくてい>は何とか眼病も治ったのですが、すっかり気が弱くなってしまって、引退を考えはじめました。 朧月夜尚侍<おぼろづきよのないしのかみ>は、パパ大臣は死んじゃうし、姉の弘徽殿大后<こきでんのおおきさき>は病身、帝は引退で、心細いことこの上ありません。 「君は源氏の方が好きだったみたいだけど、僕にはいつだって君が一番だった。君はいつか念願かなって源氏と結婚するのかな。でもきっと幸せにはなれないよ。だって彼には、僕ほど君を愛することなんて、できやしないんだから!」 と帝はのたまいます。(ったく、アンタは嫌味だよ) 朧月夜は恥ずかしさ、申し訳なさに顔を赤くして、涙をこぼすばかりです。 『ああ、どうして、若さにまかせて、あんなことをしてしまったのだろう。確かに源氏の君は素敵な人だったけれど、わたくしを主上(<おかみ>=帝)ほどには愛してくださらなかった。今になって、それが思い知らされる。あんな騒ぎを起こしてしまって、結局は、主上も、わたくし自身も、そして源氏の君をも傷つけてしまったのだわ…。うう…!』 えー、さて、「尚侍<ないしのかみ>」という役職なんですけど、前にも説明しましたが(「賢木」巻)、ここでステップU。 傷モノ女を引き入れる場合のウルトラC、尚侍なんですが、名ばかりとはいえ、いちお、キャリアウーマン職な以上は仕事がある筈です。…じゃあ、この艶で情深い朧月夜がせっせせっせと仕事をこなしてるのか。(そ、想像したくない…) …んなわきゃありませんね。尚侍ってーのは二人いていいんです。なので、メンドくさい仕事は生え抜きのオバチャンとかの方に任せて、朧月夜みたいな準妃の方は帝にはべってるのが仕事、ってわけです。(ケースバイケースですが) さて、源氏と藤壺の宮の不義の子、東宮(<とうぐう>=皇太子)も11歳になりまして、元服(<げんぷく>=男子の成人式)をすることになりました。 …え?早い?いいの、いいの。このくらいで元服するのは、普通なの。ちなみに源氏の元服は12歳の時でした。 まもなく朱雀帝が譲位し、東宮が即位しました。この帝を「冷泉帝<れいぜいてい>」と呼びます。 新しい東宮には朱雀院(もう引退したから、院)の息子が立ちます。…いちお、いたんですね。この人にもムスコが。残念ながら朧月夜の子ではありません。 彼女には子供はできませんでした。 そんな中、源氏は内大臣になります。更に、旧右大臣一派に押されて、引退していた元お舅・左大臣(葵の上のパパ)にも太政大臣<だいじょうだいじん>として復活してもらいます。 さあ!これからは源氏たち旧左大臣一派の天下です! ※ちなみに、1)太政大臣、2)左大臣、3)右大臣、4)内大臣の準でエライ一方、明石。 置いてけぼりぼりにされた明石の君ですが、このほど無事に女の子を出産しました。 源氏は考えます。実は、源氏は以前に占いでこんな予言をされてました。 「アンタはね、子供は三人。一人は帝、一人は后、一人は太政大臣になるヨ!」ってな実に景気のいい予言でした。 でも、実際、一つはもう実現してます。藤壺との間にできた子は冷泉帝として、即位しているのですから。すると、太政大臣になるのは、葵の上の忘れ形見、夕霧くん。后になるのは、今度産まれた女の子です。 后ってのは、数あるお妃の一人じゃなくって、たった一人しかなれない中宮<ちゅうぐう>や皇后<こうごう>のことを指します。 『…だとすると、未来のお后さまをンなド田舎(当時はね)に埋もれさすわけには、いかない。早くこっちに呼び寄せないと…』 さて、面白くないのは、紫の上です。 『わたくしは、あんなにあんなにあんっなに、寂しくって哀しかったのに、こ、こ、こ、こともあろうに浮気して、あげくの果てに子供までつくったなんて…!』 もーー、スネちゃいます。源氏は彼女のご機嫌とりに必死。…なんか昔もそんなことしてたねえ、キミたちは。 明石のことを気にしたり、花散里を久々に訪ねたり、凝りもせず朧月夜に コナをかけたり、都に復帰したとたんに、お盛んな源氏くんです。 やれやれ…。ま、それでこその源氏ですが。 さて、それだけじゃありません。 なんと、あの六条御息所が京に帰ってきてます。 彼女が伊勢に行ったのは、娘が「斎宮<さいぐう>」という巫女さんに選ばれたからだったんですけど、この巫女さんは、帝一代ごとに交代なのです。 めでたく娘の任期満了で帰ってきて間もなく、御息所は病気になって、ついでに出家しちゃいました。 源氏は驚いて駆けつけます。色んないきさつはありましたが、やっぱり古い仲ですから。 「ああ、わたくしはもう駄目。もうすぐこの世を去ります。心残りは一人娘のことだけ…。どうぞお願いです、この子のことを、見てやってください。でもでもでもでもっ!ぜえったいに、手はつけないでねええぇ!!」 うっっ…。スルドイ……。(-_-;) 御息所はその数日後、亡くなりました。ち〜〜ん。享年、36歳でした。 さて、そんなことを遺言されて、源氏は困っちまいました。 この前斎宮<さきのさいぐう>はもう20歳なんです。とーぜん、どっかにお嫁にやらなアカン。 源氏本人も興味シンシンなのですが、クギ指されちゃったし(ちぇ)、仕方ない、息子の冷泉帝のお妃にでもしちゃえー、と思ってます。 ところが、この前斎宮には、その昔朱雀院が一目ボレしてて、「帰ってきたんだったら、是非々々!ボクのところにお嫁においでよーー!」ともう必死のラブラブ大コールです。 …アンタ、朧月夜ちゃん一筋!じゃなかったの?? ところが源氏は、藤壺の宮と計って、この前斎宮を入内(<じゅだい>=後宮へ嫁入り)させることに決めてしまうのでした…。 |
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