MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・花宴・  
  桜の頃になりました。
宮中では今度は桜の宴をします。
一度ヒット曲を出しちゃうと、次も次もと期待されるのは致し方のないところで、「舞え舞え〜〜」と言われて急遽踊った源氏ですが、いかんせん急なことだったので、チョットだけでやめちゃいます。だってボロがでたらカッコ悪いじゃん?
そこ行くと、頭中将<とうのちゅうじょう>はマメ男くんです。この人はしっかりカゲ練してたんですねー。
そーいう奴だよ。オマエって。
さて、夜もふけました。酔っぱらっていー気分になった源氏くんは、「藤壺ちゃんに会えるなんてラッキーなことないかなっ!」とか思って後宮(<こうきゅう>=帝のハーレム)をふらふらしてます。
すると弘徽殿<こきでん>のあたりから綺麗なねーちゃんの声がします。
「朧月夜ににるものぞなき…」かなんか言ってます。
大江千里<おおえのちさと>の歌を誦してるのです。
※「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき」新古今にも入ってます。
う〜〜ん、雅びじゃあ。(今夜は綺麗な朧月夜デス)
これを源氏が見逃すと思います?んなわけありませんねー。
イキナリ抱きかかえて戸を閉めちゃいます。さすが〜。
びっくりした女は「きゃあ、あんた誰!?だ、だれか、ここに変な人がいるわ」と言いますが、なんと源氏は「無駄だよ〜〜ん。だって、オレ様は何をしても許されるんだぜ!」なんてひでーことを言ってます。
あとは野となれ山となれ。ちーん。
女もまんざらではない様子でしたが、別れ際に名前を教えてくれませんでした。
…誰だったんだろ。
気に入った源氏くんはアレコレ考えます。多分、弘徽殿女御<こきでんのにょうご>の妹だと思うんだけど、処女だったから独身の五の君か六の君。
「もし六の君だとすると、オイオイ、俺の兄ちゃん(=東宮=皇太子)の婚約者だぜ」
………しーーん。
しーんとしてる場合じゃなく、実際この人は六の君でした。
再来月(4月)には女御として入内する予定の六の君ですが、「ああっ、源氏さまってばステキだったわ!」とすっかりイカレちまいました。あーあ。
源氏も探し出したい気持ちは山々なのですが、あのイジワル弘徽殿の妹だと思うと、ちょっと気がひけます。
…だったら襲うんじゃねーよ。
さてさて、そんなこんなで1ヶ月ほどたちました。
時は3月、藤の花が美しく咲いてます。
ハデ好き右大臣がせーだいな藤の花の宴を開くことになったのですが、ここに源氏も招待されます。
他の人はみんな衣冠束帯<いかんそくたい>の正装をしてるのに、皇子の特権をふりかざして直衣(<のうし>=貴人の普段着)で、しかも超気合を入れて行くとこがイヤラシイですねー。
源氏らしいです。
そして、このチャンスを逃す源氏くんではありません!
酔ったフリして「ああ、お酒攻撃にあって参っちゃう。かくしてーかくしてー」かなんか言って、女部屋に入りこみます。
いますね、こういうヤツ。修学旅行なんかでウマいこと言って女部屋に侵入するヤツが。
そーです、こーいう時は正直にいつまでも男同士で騒いでいると馬鹿をみます。
源氏くんはそんなヤボなこたぁしません。
しっかり見つけましたよ、目的の姫、朧月夜の君を!
いやったあ!もう離さねーぜ!
ちょっとまて、源氏ーー!だからそのコは兄ちゃんの婚約者だって!
だめだ、もう止まらなーーい!!
 
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