MORI GATARI
源氏物語 エッセイ WORK 新刊案内

  ・空蝉・  
  さて、女、女と呼んでいますが、彼女のアダ名は空蝉<うつせみ>といいます。
源氏空蝉に相手にされないもんだから、彼女の弟の小君<こぎみ>を側近く使って、抱き寄せてイタズラしたりしてます。ひどーい。児童虐待だぁ。(小君はまだ12・3歳)
※年齢はすべて数え。
さて小君を責めたてて、源氏はやっと空蝉の家に忍び込むことになりました。源氏にアコガレてるので、気に入られたい小君くんは、頑張ります!
ガンバレ小君!いけいけ小君!!
「とりあえず皆が寝静まるまで待つかー」とか思って、部屋を覗き見した源氏くん、ここではじめて空蝉の顔を見ます。
ヒドイ話ですね。顔も見ないで熱を上げてたわけです。え?契ったダロって?だめだめ、暗くてそんなの見えやしません。
で、空蝉は美人だったかっていうと、そーでもなかったんですね。「まぶたが腫れ上がって、フケた感じ」なんてひどいことを言われてますが、何せ源氏は盛り上がっちゃってるんで、「気高い…!」かなんか一人で感動してます。
その時空蝉は碁を打っていたんですが、相手は空蝉の義理の娘、先妻さんの娘さんです。軒端荻<のきばのおぎ>、とよばれていますが、この軒端荻、ナント暑いからと言って(今は夏)、着物の胸元をガーーーッとはだけて、もう、大変です。(まる見え)
またこの子がムチムチ系なんですねー。源氏もまだ17歳だし、「う、こっちもいいじゃん」なんてドキドキしちゃいます。
だって男のコだもん。しょうがないじゃん?
さてさて、皆やっと寝てくれまして、ウキウキして空蝉の部屋に忍び込んだ源氏ですが、まだ起きていた空蝉は、気がついて逃げちゃいました。あーらら。
その場に残されたのは、空蝉の小袿(<こうちぎ>=着物)と、横で一緒に眠っていた軒端荻。さあ、大変だ。
気がついた時はもう遅くて、今更「あ、間違えちゃった。ごめんねー。^^ゞ」なんて言えやしない状態。
しょうがないから、源氏は「ま、さっきのムチムチ娘なら、いっか」と気を取り直し、また、「ずっと以前から…」をやってます。こらー!!
しかし!この軒端荻も大したもんで、はじめてだったくせに、「あら、あの光源氏が!」なんてけっこー楽しんじゃいます。…ったく、どいつもこいつも…。
さて、源氏空蝉が脱ぎ捨てて行った小袿をお土産に、虚しく(でもないか?)家路につきます。この小袿を抱いて眠ったりなんかして。うーーん、切ない。これを蝉の抜け殻に見たてて、彼女を「空蝉」、と呼んでいるのです。
空蝉だって、決して源氏が嫌いなわけではないのです。だって空蝉のダンナったら、オヤジな上にちっとも優雅じゃないし。
でも空蝉はしょせん受領(<ずりょう>=地方長官)の後妻風情。とても帝の皇子さまにまともに相手にしてもらえるわけはありません。おまけに美人でもないしさ。
空蝉は、源氏が「人妻♪」「逃げた魚は惜しい」ってだけで一時的に夢中になってるのがわかってたんですね(多分)。靡いちゃえば、逆に興味を失わせるだけ。また、身分が低いってだけで、あなどられているのが悔しくって。
そんなこんなで今回は源氏の黒星となったのでした。ちゃん、ちゃん♪
 
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