2001.10.02

アフガニスタン-難民

日曜にテレビで黒柳徹子さんが、今回のテロ事件以前にアフガニスタンに入って、難民キャンプなどを視察
した映像を見ました。 ユニセフの立場からの映像でしたが、パキスタンに出てしまった難民だけじゃなく
アフガニスタン国内にとどまらざるを得ない国内難民キャンプの様子が出てきました。

国内難民キャンプの女の人たちは、例のブルカという被り物は着ていませんでした。スカーフ状の布で
髪の毛を隠す程度のもののみでした。 その布も質素で、顔はやせてとんがっていました。
いままで、アフガニスタン国内の様子としてテレビで見ていたブルカをかぶった女性達のブルカがプリーツ
のきれいな布地だったので結構ああいうものでもおしゃれしていると思っていました。町の比較的裕福な
女の人たちの映像だったのですね。 本当に貧しい人たちはああいうものも持てなくて、タリバンもそれを
とがめていませんでした。
草木一本ない荒涼とした大地に、幻みたいに土と同化しそうにへばりついている粗末なテント(とも言えない
ような布切れ一枚の覆い)。夏の暑さ、40度を越す中でも大変でしょうが、これから冬の零下25度もの中
で人々が守られるとは思えません。 去年も寒さと飢えで多くの人が亡くなったということです。

パキスタン側の難民の一人のおばさんはちょっとでっぷりの立派な体格でした。決してよい環境ではないで
しょうが、ヘラート周辺の国内難民キャンプよりは、食料などは確保されているみたいでした。
本当に貧しい困っている人たちは、国境を越えられない(お金がない)、またキャンプに入れない人たちで
あることがわかりました。 だから、国連の援助がどこまでカバーしてくれるのか問題なのですが、今の
ところ、アフガニスタンに入っている援助団体を知らないのでユニセフに寄付するより仕方ないかなと思って
います。すぐにお金を送ります。

援助は絶対にお金でするのが一番です。 ニューヨークでも物資が送られて困っていると報道されていました
が、阪神大震災のときも、物資はありがたいけど、とっても困るものだったのです。仕分けるのに人手が要る
し、保管に場所が要る。配布には輸送がいる。そのためにはお金がいるということになって、ありがた迷惑
になることがあります。テレビでも援助団体の方は、お金をといってられました。
お金なら、現地で必要なものがいつでも調達できるのですから。 
震災の時も、直接頼まれたもの(下着、マスク、果物とか)はもので持って入りましたが、それ以外はやっぱり
お金が便利と思いました。 ちょっとのお金でも積み重ねると力になるかもです。

アフガニスタンで医療活動をしておられた仲村哲医師が、アフガニスタンの実情を理解することが必要で
欧米の価値観を押し付けるのは間違っているとおっしゃっていました。
タリバンの支配がいいとは思いませんが、公開処刑や女性の扱いを取り上げて、野蛮だ、非民主的だと
いいつのる報道には疑問を感じます。だって、アメリカも世界も一言も非難しないサウジアラビアだって
同じような状態なのに。サウジでは女性は一人では外出できないし、車の運転もできない。
外国の女性もアバヤと呼ばれる被り物を頭からすっぽりかぶってないといけない。宗教警察がいてみは
られている。 刑罰も盗みは手を切断されたりするし、不倫だと石を投げつけられて死刑とか。
ちょっと前になんかニュースになったけど、マレーシアかどっかで、欧米の若者がなんか犯罪を犯して、
公開の鞭打ちの刑になったことがありました。タリバンの解釈が間違っているともいわれますが、多かれ
少なかれイスラム法による刑罰は欧米の感覚からは異質なものでしょう。
タリバンのみを取り上げて、野蛮だ、非文明だと言って、攻撃を正当化しようとしているのは、変だ。

この間タリバンのテロによって殺されたマスードは、「外国に支配されないアフガニスタンの平和を」望んで
いたそうです。しかし、今、北部同盟にロシヤ、イラン、アメリカが軍事、物資の支援をぶち込み始めている。
アフガニスタンの内戦はまたまた激化している。
アフガニスタンは国土全体が、戦場となっている。そして、きびしい自然条件が追い討ちをかけている。

戦争とは、戦争に巻き込まれるとは、国土が戦場になるとはどういう状態か、よく考えてみよう。
太平洋戦争末期の日本の状態を考えてみてください。 戦闘員、非戦闘員の区別なく爆撃と飢えにさらされ
力のないものは飢えて死んでいったし、逃げ惑って死んでいったのです。
「火垂るの墓」は事実だったのです。 沖縄戦で何人の非戦闘員がなくなったか思ってください。
ヒメユリ部隊は、武器を持った兵士ではなかったのです。医療班としていた女学生だったのです。
今回のアメリカで起こったテロ行為は、日常の中で思いも寄らない攻撃で多くの人々を犠牲にして、許され
ない行為であることに間違いはありませんが、あれを経験してもなおアメリカは自国が戦場になった経験を
持ったことがない国のままだと思います。 すごい惨事の横に日常が同居できる状態なのですから。

日本もやはりずーーと平和で世界のどこに戦争があるのかという状態で、なかなか想像できないかも知れ
ませんが、知りましょう。 アフガニスタンの人々の今の生活を、苦しみを。


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