2001.09.16

パレスチナの人々

  パレスチナ人の復帰権同盟アル・アウダ メディア委員会のマジン・クムシイェー文学博士の
文章を転載させていただきます。
>>あの恐るべき悲劇のあと、テレビはくりかえし、パレスチナ人のティーンエージャ
ーが雀躍りしている様子を映しました。以下の問題については、ほとんど議論もされ
ず、ニュースでの報道もなされませんでした。どうか、これを読んでください。お問
い合わせになりたいことがあれば、我々にご連絡ください。

 -今回のテロリストの行為は、パレスチナのどの組織や団体からも強い糾弾を受け
ました。ファタハ、パレスチナ解放民主戦線(DFLP)、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)
、ハマス、諸組合、人権組織(アルハク、ロー、パレスチナ人権センター)、労働委員
会、学生団体、地方自治体、モスク、教会等々。

 -また、今回のテロリストの行為は、いかなるアラブ系アメリカ人、イスラム教徒
の米国人、またパレスチナ人の人権を支援する無数の人権団体からも、糾弾されまし た。

 -パレスチナ自治政府評議会議員のハナン・アシュラウィは、インタビューに答え
た中で、今回のテロを祝った人々の行動は、パレスチナ人の間に自分達は米国に支援
されたイスラエルの犠牲になってきたという意識があるがために起こった「心得違い 」の
「逸脱した」ものだと述べています。パレスチナ人のアナリスト、ガッサン・ア ル・ハティブは
「米国での人間的悲劇が、パレスチナ人やアラブ人やイスラム教徒を
「悪い連中」に見せて政治的に不利にするために利用されるようなことがあってはな
らない」と言いました。パレスチナ人の多数は、今回のテロに恐怖とショックを感じ、
あれを糾弾したのであり、(自分達も犠牲者である者として)犠牲者たちに共感を持ったのです。

 -今回の蔑むべきテロリストの攻撃によって、何人かはわかりませんが、イスラム
教徒も、アラブ系アメリカ人も、おそらく数十人から数百人は命を落としたはずです。
今なお行方不明の人も多く、私たちは、この人々が無事で発見されることを祈って います。

 -イェルサレムの米国領事は、パレスチナ人およびパレスチナの諸団体から、死者
への悔やみと悲しみと連帯を表明する膨大な数のファックスを受け取ったことを報告
しています。領事自身も、マスコミがことさらに少数のパレスチナ人の喜ぶ姿をセン
セーショナルに強調したことに心を痛めたのでした。
 
 -キリスト者調停団(ヘブロンその他の地域で、イスラエルのパレスチナ民間人に対
する攻撃をやめさせるための非暴力的活動に従事する米国人、パレスチナ人、その他
の人々からなる)は、この地域の人々のために、徹夜の祈祷を行ないました。

 -パレスチナ自治政府評議会は米国に対して行なわれたテロリストの攻撃を糾弾し、
J・デニス・ハスタード米連邦下院議長に緊急の悔やみ状を送りました。

 -東イェルサレムにある米国領事館の前には、ニュースを聞いたパレスチナ人の男
女と子どもが自発的に蝋燭を灯して集まり、塀にそって花を置きました。彼らの掲げ
たプラカードのうちには「テロは私たちにとって共通の敵」「私たちも犠牲者」と書
かれたものがありました。

 -イェルサレム東部の占領地区では、パレスチナ人が9月12日、米国の事件犠牲者家
族への哀悼と連帯を表明する徹夜のキャンドル・サービスを行ないました。今は亡き
パレスチナの指導者ファイサル・アル=フセイニの子息、アブドゥル・カデル・アル=
フセイニ氏がキャンドルの列を率いました。

 -パレスチナに住んでいるパレスチナ系米国人は、声明を発表し、彼らが他のパレ
スチナ人から受け取ったメッセージはすべて悲しみと憂慮を表明したものばかりだっ
たと報告しています。

 -イェルサレム大学の学生は、学長および諸学部の学部長とともに、東イェルサレ
ム占領地区で献血を開始しました。学生と教授達は、血液を必要とする米国の犠牲者
に血液を提供するため、占領地区のさまざまな病院に赴いたのです。

 -東イェルサレム占領地区を含むパレスチナの占領地区にいる100万人のパレスチナ
人学生は、今回の悲劇の影響を受けた米国のおおぜいの子どもたちへの連帯を表明す
るため、5分間、無言で起立しました。米国の子どもたちの受けたショックは、学生
たちが日常的に受けている苦しみと同様なのです。

 -米国全体で、アラブ系米国人、イスラム教徒の米国人が、無責任な言説や脅迫を
受けたり、攻撃を受けたりしながらも、なお、他の米国人とともに、徹夜の祈りを行
ないました。

 -ブッシュ大統領は、パタキ(ニューヨーク州)知事およびジュリアーニ市長と語っ
たなかで、こう述べています。「我々がしているように、私は、これは全部言う必要
もないことだが、米国はニューヨーク市に住む大勢のアラブ系米国人も我々三人と同
じように星条旗を愛しているのだということを忘れてはならないし、また、我々が戦
争で勝利を目指すときも、アラブ系米国人とイスラム教徒を、彼らにふさわしい敬意
をもって扱うよう心しなければならないということを、つよく言っておきたい。これ
はもちろんあなた方のとる態度であるし、米国政府の態度でもあるが、我々は、ある
人がイスラム教徒だからといって、テロ行為に責任があるなどと考えてはならない」

 -ジョージア州議会のゼル・ミラー上院議員は「彼らを徹底的に爆撃してやれ。民
間人にも損害が出るなら出ればよい。彼らはきっと、我が国の民間人を消耗品だとで
も思ったにちがいない」と語りました(ニューヨーク・タイムズ9月13日付)

 -今回のテロが米国とイスラエルの関係にとってどういう意味をもつかを聞かれた
ベンヤミン・ネタニヤウ元首相は、「大いにいいことだ」と答えたあと、「いや、そ
んなにいいことでもない。しかし、我々は即座に同情を引き起こした」と言い直しま
した。(ニューヨーク・タイムズ9月12日付A22頁)
http://www.nytimes.com/2001/09/12/international/12ISRA.html

 -イスラエル軍は、事件直後の混乱を利用して、パレスチナの都市ジェニン、つい
でジェリコを襲撃し、数十人の人々を殺害、120人以上の人々を負傷させ、多数の家
や建物を破壊しました(AP、AFP)。

 このほか、関連する情報は次のURLで読むことができます。
http://electronicIntifada.net/coveragetrends/rejoicing.html

 マジン・クムシイェー文学博士 
 パレスチナ人の復帰権同盟アル・アウダ メディア委員会
 http://al-awda.org/pressroom.htm
 私書箱1172
 06477コネチカット州オレンジ

                        (訳 萩谷 良)


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