ファルージャ市民代表からアナン国連事務総長への書簡

アメリカ軍がイラクで毎日、大量虐殺を続けていることは、証拠を
  提出するまでもなく明らかです。そして、この手紙を書いている今、
  アメリカはファルージャの街に対して、この大量虐殺を実施してい
  ます。アメリカ軍は自らが保有する中で、最も破壊能力の高い爆弾
  をファルージャの市民に向け投下し、罪のない多くの人々をを殺傷
  しているのです。そして地上では、アメリカ軍の戦車が、激しい砲
  撃で街を破壊しています。

  ご存知のように、ファルージャ市の代表とアラウィ政権との間で交
  渉が続いているため、現在ファルージャに軍は駐留していません。
  またここ数週間、抵抗勢力も行動を控えています。

  しかし、新たな爆撃は、イスラム教の断食月ラマダンで、人々が断
  食をしている時に開始されました。その結果、多くの市民が、瓦礫
  の中に埋まり、外からの援助も断ち切られている状態です。10月
  13日の夜、アメリカ軍は爆撃機1機で、民家50件を破壊、多く
  の人を殺害しました。これは大量虐殺という犯罪行為ではないので
  しょうか、それともアメリカ民主主義の教訓なのでしょうか。アメ
  リカ軍は、占領を認めさせるために、ファルージャの人々に対しテ
  ロ行為を繰り返しているのです。

  あなた(アナン事務総長)は、アメリカとその同盟国が、大量破壊
  兵器の脅威を口実に、私たちの国の破壊を続けて来たことをご存知
  のはずです。彼らは自らの大量破壊兵器を用い、多くの市民を殺害
  しました。そして今になって、イラクに大量破壊兵器はなかったこ
  とを認めています。しかし、彼らは自分たちが犯した罪については
  口にしようとしません。世界中が沈黙しているのです。イラクの一
  般市民を殺害することすら非難の対象にならないのです。アメリカ
  は、1991年の戦争の後、イラクに賠償金の支払いを強制しまし
  たが、今回アメリカはイラクに賠償金を支払うでしょうか。

  私たちの住んでいる世界はどうやら、二つの異なった基準があるよ
  うです。ファルージャでアメリカとその同盟国はアル・ザルカウィ
  という新しい、正体不明の標的を作り出しました。ザルカウィはア
  メリカの犯罪行為を正当化する新たな口実です。この新しい人物は
  一年前に、でっち上げられました。そして、その一年の間、アメリ
  カは民家、モスク、レストランを攻撃し、女性、子供を殺害しまし
  た。そして、常に「われわれは、アル・ザルカウィに対する攻撃を
  成功裡に遂行した。」とだけ言い、決して、ザルカウィを殺したと
  は言いません。言えない筈です、ザルカウィなど実在しないのです
  から。

  私たちファルージャの住民は、この人物が市内にいないことを保証
  します。そして、多分イラク国内にいることもないでしょう。私た
  ちは、これまで何度も、「誰でもいいから、ザルカウィを見かけた
  ら、殺せ」と訴えてきました。しかし、今、ザルカウィはアメリカ
  がでっち上げた幻だということがわかりました。私たちの代表は、
  これまで繰り返し、市民の誘拐や殺人を非難してきました。私たち
  は、非人間的なことをしているグループと何のかかわりもありませ
  ん。ファルージャに対する犯罪行為をやめ、軍をファルージャから
  撤退させるよう、あなたそして世界の指導者がブッシュ政権に大き
  な圧力をかけることを要請します。

  ファルージャからアメリカ軍が一時撤退した後、ファルージャは平
  和で静かな街となっていました。混乱はまったくありませんでした。
  資金不足にもかかわらず、街の文民行政もうまく機能していました。
  私たちの唯一の犯した「罪」は、占領軍に来てほしくないと主張し
  たことのようです。しかし、占領に反対するということは、国連憲
  章そして国際法、また人間としての常識に照らし合わせてみても、
  私たちが持つ当然の権利のはずです。

  今、あなた、そして世界の指導者が、新たな惨事を防ぐために早急
  に介入することを要請します。私たちは、イラクの国連の代表と連
  絡を取って、このメッセージを伝えようとしましたが、ご存知の通
  り、国連はバグダッドで一番警備の厳しい、外の社会と遮断された
  グリーン地域にあり、立ち入りは許されませんでした。私たちは国
  連にファルージャの状況に目を向けて欲しいと願っています。

ファルージャに住む市民一同、教職員組合etc.

翻訳・紹介者は「ストップ・ザ・ウォー連合(Stopthe War Coalition ) 」に
関係しておられるロンドン在住の日本人です。

このメッセージは、イギリスのストップ・ザ・ウォー連合ブリストル支部に
届いたものを「911を追求する組織」がニュースレターの中で紹介したもので、
転送・転載歓迎とのことです。