ふたりでお茶を

「失礼します」
 呼ばれてオフィスの無骨なドアを開けると、クーリィ准将が度の強い眼鏡の奥から目だけで入室を促した。
「一つ頼まれてくれないか、少佐」
「なんです」
 厭な予感と共に訊く。彼女の呼び出しは、大抵ろくなもんじゃない。
「来月、地球から各国代表の視察団が来るそうだ。彼らの相手を任せたい」
「またですか」
 予感的中。うんざりと呟いた。
 日本空軍から大将が来た時も、アメリカからライターがやって来た時も、茶番に付き合わされるのはいつも特殊戦だった。うちはそんな余興のためにあるんじゃない。
 憮然とするこちらの顔を無視して准将が続ける。
「半日程度の滞在だから、シルフの簡単な説明と飛行訓練でも見せてやればいいだろう。詳細はその書類に書いてあるから、目を通しておくように。以上だ。質問は?」
「──ありません」
 溜息を吐きつつ敬礼。「頼み」と言いつつ、これは既に決定事項なのだ。反論も拒否も無駄。無駄を承知で踵を返す前に厭味をこぼす。
「全く、あなたに呼ばれるといつもこれだ。たまには良い話でも聞きたいんですがね」
「例えば」
「例えば…そう、例えばお茶のお誘いとか」
 厭味にも眉一つ動かさず冷静な(あるいは冷徹な)准将に、思わずいたずら心で返したのがそんな台詞。流石に少しは意趣返しになるだろうかと思ったのだが、
「そう。ゆっくりお茶を楽しむ時間があるとは、特殊戦出撃管理は随分と暇なようだな。なら、その仕事はうってつけじゃないか。よろしく頼んだよ、ブッカー少佐」
 …厭味で返された。
 どうやらどうやっても彼女には勝てないらしい。再度敬礼して、今度こそ踵を返した。が、その背にクーリィ准将の声がかかる。
「──ああ、もう一つ頼みがある」
「…なんなりと?」
 小さく溜息を吐き、一呼吸置いて最上級の作り笑顔と共に振りかえった。その目に、部屋の隅を指すクーリィ准将の指が映る。
「そこにコーヒーサーバーがあるから、お茶の用意を。──2人分だ」
 面食らって顔を見詰めると、ふいと視線を逸らされた。思わず笑みが──作り笑顔でない、本物の笑みが──頬にのぼる。
「一つはココアでも構いませんか?」
「…好きになさい」
 むっつりと答える准将に見えないように、背中を丸めて笑いを堪えながら、せいぜい准将の顔を潰さない程度に視察団を歓待してやろうじゃないか、と考えていた。
【Fin】

せのおさんから頂いた(…強奪?)ジャックとクーリィです♪
(ちなみにこの安直なタイトルは私がつけました…)

彼女の日記に「ジャック×クーリィ」とあったのを見て、
掲示板に「読みたいです」と書き込んでみたら、
せのおさんは本当に書いてくれました…
掲示板のレスとして。すご!!

狂喜した挙句に「欲しいです!!ください!!」とさらにねだる女がここに。
許可を頂いてしまったので、速攻アップ。やり!!言ってみるものだわ〜♪♪
せのおさん、どうもありがとうございますー!!!