現地レポート                                                 by  H. Onoe

※成績は以下 のサイトに公開されているのでそちらを参照下さい。
http://orientacnibeh.cz/english/wuoc2004/
 
23日(ロング) 
 レース後の選手のコメント
 皆川:コントロール一つ一つが難しかった。岩のコントロールはどれもフラグが
    反対側に置いてあって、似たような岩を一つ一つチェックする羽目に。
 原 :道走りで外国選手と何度か並走することになり、自分のイメージとしては
    当然先に行かれるものと思っていただけに「なんで抜かれないんだろう」
    とかえって気になってしまった。藪っぽいところやコントロール周りで、
    あっという間にいなくなってしまった。
 番場:ロングレッグでルートを悩んだ挙句、道回りにしようと決めたときに2〜
    3人のパックが違う方向に通過し、「やっぱりそっちか」と追走したのが
    悔やまれる。ラップを比較してみないとわからないがルート的にやはり損
    だった。後半は快調に走れ、岩コントロールも確信を持ってアプローチで
    きた。
 西尾:前半のストレスある走りで後半ばてた。折角「これがチェコだよな!」と
    いうすばらしいコースを目の前にしながら、もはやそれを満足に走り切る
    体力が残っておらず残念。

 スナップ1


24日(スプリント)
 ユニバー初のスプリントは前半2割が市街地、後半8割が公園というテレインで
秒差を競う緊迫したレースだった。日本チームは19:20の好タイムかと思われた姫野
が直線状のショートレッグでコントロール飛ばし、20:20でフィニッシュした高野も
観戦者の目の前で隣接男子ラス前をパンチとペナが相次いだ。同じ特徴物の隣接コ
ントロール(10-15m程度)が4ヶ所もあり、全体でも大量のペナが発生した。
また小泉が中盤の滑りやすい場所で足をひどく捻挫、新宅も終了後に公園を走って
軽く捻挫と怪我人が相次いだ。小泉は近くの病院でX線写真を撮った結果、骨には
異常がなくひと安心。但し明日のミドルは欠場すること替わりは新宅)に決定。

 スナップ2


25日(ミドル)
 宿舎から数キロのモデルイベント隣接の最も近いテレイン。ロングが岩だらけだ
ったのに比べ、ここはモデルイベントの時にもあった凸凹の微地形が特徴。天気は
良いものの午前中はやや涼しく風の強い日だった。小泉の代わりに出場した新宅が
「自分向きのコースだった」と満足な走りでフィニッシュ。寺垣内もそれを20秒
上回るまずまずのタイムで海外2戦目を無難にまとめる。番場は最後に大きなミス
をしたものの、2分後の選手と2番からずっと並走した経験は次のリレーに生きそ
うだ。日本チームで最も遅いスタートだった西尾が快走を見せて観戦者を喜ばせた。
47分台でトップ比130%を切るタイムはなかなかのものだ。

 スナップ3

リレー前夜のミーティングで各選手の意気込みを聞いた。
 番場:明日が楽しみ。前回はチームの取り組みが少なかった。今まではリレーを
    目標にしてやってきたことがなかったが今回は準備できた。目標を忘れな
    いように、無理に欲を出さずベストを尽くして次のユニバーにつなぎたい。
 姫野:このユニバーチームに入れて良かった。チームが組めたことが大事。最後
    の目標に向かって頑張りたい。それに向けて準備はしてきた。
 皆川:リレーは憧れがあった。楽しみだが緊張もありそう。だけど準備によって
    安心感がある。他のメンバーが信じられる。落ち着いてできそうなので自
    分のやるべきことに集中しようと思う。
 原 :リレーは好きなので、このチームで走れるのが楽しみ。4月から楽しみに
    してきた。良いレースができるように頑張る。ロングで悔しい思いをした
    ので明日は完全燃焼する。
 高野:ロシアチームとやるが自分の良いレースをする。バンケットを楽しむため
    に。やぶが苦手だが何とかうまくこなしたい。浅井さんやロシアのカリス
    マオフィシャルに怒られないように。
 浅井:ロング、ミドルでひどいレースをしてしまった。だけど良い部分もあった
    ので最後は満足できるレースを頑張る。
 小泉:怪我は改善しているので走れそう。イメージ通りに集中すれば結果は付い
    てくる。
 西尾:今日以上の走りをして佐々木につなぐ。インカレで活躍した仲間でのチー
    ムなのでそれを誇りに思って走る。
 佐々木:リレーとはいえ走るのは一人。自分のすべきことに集中して誇りを持っ
    て走る。
 寺垣内:ロングはうまく行かなかったが今日は少し良かった。反省を生かして自
    分のレースを。人につられないように集中する。
 坂本:リレーは大好き。積み重ねたものを生かす。回りの人を利用してみたい。
    日本の学生の中では一番早いはず。
 新宅:今日は気持ちよくできたがまだ甘い。さらに自分を高められるように切れ
    た走りを目指す。代表チームにはチーム作りを意識し直して勝負して欲し
    い。


26日(リレー)
 朝、小泉から「坂本に託したい」との意思表示があり1走交代となった。だいぶ
足も良くなって来ているので、さぞや残念なことだろう。しかしチーム作りの過程
で小泉の果たした役割は大きい。その意を汲んで坂本もがんばることだろう。期待
が高まる。リレーはスタートゴールが一緒なので、早速タープを設置して陣取る。
スタート1時間を切っているのに、まだユニットやフラグを持って設置に出かける
姿が見える。日本では考えられないことだ。
スタート直後にいったん山に入り、緩斜面を登って道に出る辺りが会場からしばら
く見えるのだが、坂本も番場も良い感じの位置取りでスタートして行く。
レース結果は公式発表の内容に譲るとして、圧巻は男子アンカー寺垣内のイスラエ
ルとの一騎打ちだ。5分差を徐々に挽回しラス前で追いつき、ラスポで待つ応援団
の目の前を変な方向から2人が揃って現れ、ラスポ→ゴールの勝負となった。220m
のスプリント勝負は、最初10mくらいリードしていたものが途中で4〜5mに縮まり、
一瞬ハラハラさせたが、最後は粘り強く逃げ切った。女子もみな無難につなぎ3年
ぶりの完走記録となった。
 今回のリレーは時間を掛けてチーム作りをしたお陰で、小泉の怪我を初め小さな
アクシデントはあったが、みんなでそれをカバーし合い気持ちがつながった中での
落ち着いたレースができたことは大きな収穫だったと思う。

 スナップ4

全競技が終了した後、バンケットに行く前に選手の感想を聞いた。
 番場:チームの中で一番しっかりしなければという2回目のプレッシャーが無い
    わけではなかったが、チーム作りのお陰で精神的にも前向きに取り組めた
    のは収穫だった。今回は良い成績を残せなかったが、日本でやるべき準備
    は明確になったので、9月には結果を出したい。
 浅井:大会だけでなく合宿などの期間を通じてのチーム作りはまたインカレがあ
    るみたいだった。得るものが多く良い経験ができた。
 姫野:現役の時より準備をした。すべての期間を通じて勉強することが多かった。
    さらに成長したい。
 高野:チーム環境は同期の仲間だったので重い雰囲気にならずにありがたかった。
    準備期間が短くて大きくは変えられなかった。自分なりに100%ではないが
    納得している。セレまでの準備が足りなかった。
 皆川:初めて日本代表としての大会参加で、世界の壁が見られただけで価値があ
    った。今までで一番準備ができ、楽しめた。良かったところを生かしたい。
 原 :2ヶ月ちょっとという短期間ではあったが、環境に恵まれチームメートに
    恵まれ、実した期間だった。リレーはベストではなかったが実力の範囲内
    で納得できた。今後に生かしたい。
 小泉:スプリントは捻挫しなければ115%は出せたので、今後は何位相当になるか
    は分からないが110%を目標にしようと思う。走れなくて残念だし悔しいが
    それ程落ち込んではいない。自分の中では今回がユニバーは最後だと決め
    ていたのでたぶんそうする積もり。今後は代表として援助もしてもらった
    学連に、貢献できるようにしたい。合宿に一般学生をもっと参加させたり、
    後輩にすばらしさを伝えていくことが大事。次回も資格のある人は是非行
    って欲しい。
 西尾:前回参加した紺野さんが「日本人でも表彰台に立てる」とか、加藤さんが
    「ある程度自分がどの程度になれるか予測できる」と言っていたように、
    自分の位置が分かるようになることが必要だ。今回自分は自信満々だった
    が、ロングでそれが打ち砕かれた。ミドルではそれなりのレースができた
    ので納得している。
 佐々木:卒業してから1年3ヶ月を掛けてユニバーを目指した。満点の準備では
    なかったが充実した準備ができた。やはり日本でできること以上のことは
    できない。今回を1ステップとしてWCupやWOCも目指す。
 寺垣内:インカレが終わってから目標としてやれたことが良かった。4月からの
    2ヶ月間で追い込みすぎて疲れが残ったのが失敗だった。ロングは納得で
    きず、ミドルで感触を掴み、リレーは納得できるレベルで実力は出せた。
    どんなトレーニングをしたら良いかが分かったので、日本で長期計画を立
    ててやりたい。今回はWCupやオーリンゲンでもう少し勉強する。
 坂本:昨年JWOCへ行ってから自分はもっと早くなれるのではないかと思った。昨
    年は1ヶ月半欧州でオリエンテーリングをしていろんなテレインを経験し、
    チームの中ではテレインへの適応性は一番あるのではという自信はあった。
    今回初めてでうまく行かなかった人もそういう経験を積めばできる思う。
 新宅:2年前のブルガリアでは何もできなかった。次も行こうと思って目指した。
    悩みはあったがチームに支えられた。今できることはやった。自分たちの
    レベルが分かったことが収穫。まず体を作ろうと思う。