早大大会における女子トップ4の分析  by H.Onoe 2001.2.21


2月18日に千葉の「両総用水21」で行われた早大大会のデータを元に、インカレでトップ争いをしそうな4人の走りを分析してみた。

まずWEコースの各レッグの課題をやや乱暴に、走力、登力、直進、尾根沢、微地形にカテゴライズし、各人のトップ3からの相対%と対比させてみた(小林の1番は遅刻によるもの)。

  番場 上松 塩田 小林 走力 登力 直進 尾根沢 微地形
相対%                  
△→1 121 171 106 372    
1→2 128 125 120 91        
2→3 105 115 109 161    
3→4 109 115 95 114      
4→5 169 124 983 148        
5→6 187 115 241 118        
6→7 131 132 104 104      
7→8 111 142 113 106        
8→9 130 120 100 110        
9→10 133 125 92 123      
10→11 111 131 99 133        
11→12 124 118 99 123        
12→13 108 114 140 109        
13→14 146 129 102 109        
14→15 120 116 115 137        
15→◎ 110 102 100 114        
巡航%                  
  113 116 97 109          

その結果面白い相関が観察されたので、これまた乱暴にまとめると以下の表になった。それぞれこの大会への位置づけは異なるであろうが、ある側面は見えてきたと思う。

  走力 登力 直進 尾根沢 微地形 総合コメント
番場   バランス型、極めて慎重
上松   技巧派、メンタル面にバラツキ?
塩田     × 馬力&切れ味抜群、思い込んだら一途
小林     手続き(プラン、コンパス)が素早そう

塩田は非常に積極的なレースを行ったようで全体の中でも多くの1、2位ラップを取っており、5番が人並であれば木植を抜いて堂々のトップタイムになる走りだった。着々とインカレの栄光目指して進んできていると言える。あとは今回の失敗をどう解釈し、本番で如何に自己制御するかに掛かっていると言える。

小林は遅刻だったためか全体に追い込んだ走りを見せておらず、今回の結果だけで塩田との差を云々することはできないだろう。過去の実績からももっと走力はあるはずである。そうした中で全体的に割り切ったプランですばやく動いていることが想像され、サムコンを使いこなした直進などでは光るものが見える。

番場は登りのある大きな地形では早いところを見せており、難しいところでは慎重に進むなどバランスの良いレースをしている。本番でも大崩れをしない自己制御が掛かっている。上記2名が先行争いで足を使い過ぎると最後に差すことも十分に有り得る。

上松は微地形をうまくこなすなど、この4人の中では一番技巧派だと言える。しかし1番でもたもたしたりして不可解な動きをしており、「この人、よう分からん!」というのが実感である(失礼!)。精神面のコントロールがカギになりそうな気がする。この人も番場と同じく上記2名の走り如何では、最後の大まくりで飛び込む力を秘めている。

そこで最後の予想だが、愛知の山は大きな起伏があることなども含め、塩田、番場、有利と見た。優勝設定は65分だが、順当なら61分程度塩田がゴールしそうだ。もし65分を越えるレースになった場合は番場が怖い存在となる。これはあくまで本命を買いたくない穴党筆者の感による予想なので了解されたい。小林には連覇の夢を果たしてもらいたいし、上松も最後に良いところを見せて欲しいと思っている。



IC00女子戦力分析  2001.1.25



まずは例年どおり過去1年のレースでの私の計算法による年間ポイントランキングを示す(従って今回のインカレエリートに出場しない人も含まれており、これがインカレ個人戦の30位までの予想というわけではないので念のため)。一番右の数値は対象としたデータ数で、この数が少なくなるほどデータの信頼性が低くなる。

まずIC99、ICS00を制した小林が、東大、東日本のWEで優勝の塩田を抑えてトップ。この2人は秋以降の大会で大きな失敗レースをそれぞれしているが、これはいろいろ新しい挑戦をしていると筆者は見ているので問題ないだろう。

あとは同じくIC99でもシードだった上松番場が順当に続く。よくインカレは(特に女子は)番狂わせがあると言われているが、今年のインカレに限って言えばこの4人の牙城は堅い。この4人が入賞を外す確率は非常に低い。

5位以下は順位は付いているが10数位までほとんど差はないと言える。逆にこのあたりの選手は成績にバラツキが大きいので、レースの出来次第で順位は大きく変動するものと思われる。
 
1 小林啓恵 東北大学 4 176.3  9
2 塩田美佐 筑波大学 4 172.8  15
3 上松佐知子 筑波大学 4 168.1  14
4 番場洋子 京都大学 3 167.8  10
5 古澤裕子 広島大学 2 159.3  5
6 横江君香  京都橘女子大学 4 152.2  11
7 森田有希子 静岡大学 4 149.5  9
8 山田陽子 図書館情報大学 4 149.2  10
9 池田和香子 東北大学 4 148.7  10
10 井上アヤ乃 東北大学 4 147.3  9
11 増山 歩 新潟大学 3 147.0  3
12 長田江美 日本女子大学 4 146.9  8
13 塩田純子 京都橘女子大学 3 145.8  7
14 岡田真希子 慶應義塾大学 4 145.2  5
15 澤田留已 京都女子大学 2 142.9  6
16 重安明子 静岡大学 4 142.7  4
17 高橋ひろみ 慶應義塾大学 3 142.1  9
18 加藤貴子  筑波大学 4 141.9  12
19 下村淳子 東北大学 4 141.0  9
20 井手千寛 相模女子大学  2 139.2  8
21 二俣みな子  筑波大学  3 136.6  13
22 谷 久美子  京都女子大学 4 136.3  8
23 新宅未笛  筑波大学  3 135.4  14
24 本多祐子 東北大学 3 134.2  8
25 山本真美 東京女子大学  3 131.7  10
26 清水美和 大阪教育大学 4 131.6  4
27 佐藤陽子 千葉大学 4 131.0  8
28 斎藤裕美 信州大学 4 130.4  5
29 長野めぐみ 東京女子大学 4 130.0  6
30 蓬莱真子  千葉大学  3 129.8  7



直接対決結果  2001.1.29 修正 ※多摩OL大会の結果が抜けていたのを修正

今回はさらに上位選手のみだが直接対決勝敗数を表にしてみた。データは出場クラスが同じ場合のみのデータを用い、対象となる2人以上が参加した大学の対抗戦や練習会も含めた。まずはトップ4人が5位以下とポイント的にも離れているのでその4人同志の分析を示す。

列を横に見て行き、2つの数字がその欄の人に対する勝敗数である。例えば小林は塩田に対して5勝3敗という具合に読む。最後の3つの数字はトータルでの勝ち越し、負け越し、引き分け数である。
 
  小林 塩田 上松 番場   -
小林啓恵 * 5-3 6-3 5-0 3-0-0 ●●●
塩田美佐 3-5 * 8-6 4-2 2-1-0 ●●
上松佐知子 3-6 6-8 * 4-3 1-2-0 ●●
番場洋子 0-5 2-4 3-4 * 0-3-0 ●●●

塩田vs上松上松vs番場、は相当均衡していることが分かる。一方番場は1度も小林に勝っていないことが分かる。小林が他の3人すべてに対して勝ち越して3勝0敗0引き分けでトップ。(見事にポイントと同じ順位が付いている)

さて、次は5位以下の8人グループ。
 
  横江 池田 古澤 井上 山田 長田 増山 森田   --分
横江君香  * 1-3 1-1 4-1 4-0 1-0 3-0 4-2 5-1-1 ●●●●●
池田和香子 3-1 * 1-1 2-4 4-1 0-1 2-1 4-1 4-2-1 ●●●●●●
古澤裕子 1-1 1-1 * 1-1 2-1 1-0 1-0 1-1 3-0-4 ●●●○○○○
井上アヤ乃 1-4 4-2 1-1 * 4-2 0-1 1-2 3-2 3-3-1 ●●●●●●
山田陽子 0-4 1-4 1-2 2-4 * 2-0 2-0 3-2 3-4-0 ●●●●●●●
長田江美 0-1 1-0 0-1 1-0 0-2 * 1-2 0-0 2-4-1 ●●●●●●
増山 歩 0-3 1-2 0-1 2-1 0-2 2-1 * 0-2 2-5-0 ●●●●●●●
森田有希子 2-4 1-4 1-1 2-3 2-3 0-0 2-0 * 1-4-2 ●●●●○○

ポイントランキングでは古澤の方が横江より上だが、この直接対決勝敗数では、横江が5勝1敗1分けで上位。池田もポイントの割には上に来る。この2人は勝負強いということか?

この横江井上山田らには強いところを見せているが池田には負け越し。しかしその池田井上には相性が悪いという具合にかなり複雑。古澤は勝ち越し数は3だが負け越しがない点が光る。対戦数が少ないので実力を測るのは困難。森田もポイントは上位だがこのクラスの直接対決ではほとんど負け越しているのが気になる。

この辺りまでが残された入賞2席を争うことになるだろう。また団体戦ではこの相性が走順にどの程度考慮されるかなかなか興味深い。