JWOC2000日本代表選手紹介

今年のジュニア世界選手権大会(JWOC2000)は、7915日の日程でチェコ共和国で開催される。36ヶ国から411名がエントリーしており、競技はクラシック、ショート(予選、決勝)、リレーが行われる。日本からの代表選手は以下の男女各6名であり、430日に行われた選考会で、男子36名、女子14名の全国の若手精鋭の中から選ばれた。

今回は加藤、狐塚、番場が、昨年のJWOC99に引き続いての2回目の出場になるほか、大学入学前からのOL経験者が複数名含まれているのが特徴だろう。今年は一味違った戦績が期待できそうだ。以下、その選手を紹介しよう。

<女子選手>

氏名大学学年経験セレ順位その他
番場洋子京都3 2年1JWOC99
古澤裕子広島210年2 
井手千寛相模女子2 1年3 
岩間可南子新潟2 1年4 
黒河幸子筑波2 1年5 
澤田留己京都女子2 1年8 

番場洋子 (京都大学 3年)

大学から始めたにもかかわらず1年のインカレでWE16位(新人特別表彰)、日光インカレで堂々の4位入賞と華々しい実績を残している番場は2回目のJWOC挑戦となる。前回は中位でショートのBファイナル進出を果たしたので、今回はAファイナル進出という日本人初の快挙に目標を絞っている。京大の男子に混じってトレーニングに励む一方、落合志保子の指導を受けて万全を期す。メリハリのある積極的なレースができるかどうかが鍵である。吉報を待とう。

 

古澤裕子 (広島大学 2年)

東大大会でM43AW35Aを制したご両親の愛娘。OLは子供の時からやっており、個人クラスに出るようになってから10年の経験を有する。昨年のJWOCセレに通ってもおかしくなかったのだが、1年間充電しての参戦となる。自然に覚えたOLなので取り組みもいたってマイペース。日光インカレは1年前の番場と全く同じWE16位で新人特別表彰。全日本、作手と公認W20A連覇を果たし好調さを持続している。JWOCでもいつも通りの自分のレースを目指す。

 

井手千寛 (相模模女子大学 2年)

中学時代に陸上を少しやっていた井手は、体力面では比較的恵まれた状態にある。これからの技術面の強化次第で伸びる可能性を秘めている選手だ。日光インカレではWFで1位、団体戦でも新人特別表彰を受けた相模女子大チームの一員である。所属するKOLCからは、慶應の山根玲、高橋ひろみに引き続いて3年連続のJWOC出場となる。相模女子大には2年生が4人いるが、お互いに刺激しあって切磋琢磨できる環境が良い方向に向いているのは確かだ。

 

岩間可南子 (新潟大学 2年)

日光インカレで最大数の1年生女子軍団を送り込んだ新潟大を代表しての出場である。中学時代にテニスの経験はあるが、体力面、技術面、いずれもまだこれからだろう。昨年JWOCに行った先輩の増山歩も当時は同様の状態だった。JWOCセレに通ってから必死で取り組み急成長した先輩が身近にいることは心強い。現在、先輩を見習って学校周辺での体力トレーニングおよび地図読みなどに励んでいる。期待しよう。

 

黒河幸子 (筑波大学 2年)

スポーツ経験は中学時代に卓球部ということだが、筑波からの代表ということで多くを期待してしまう。やはりすばらしい多くの先輩に囲まれた環境は得難いものだろう。そのおかげか全体的にバランスの良いOLをしている。課題として等高線情報の利用、地形の把握を挙げるが、好きなことには労力を惜しまないという性格なので立ち上がりは早いだろう。JWOCで多くのことを吸収し、次世代の筑波を背負って欲しい。


 

澤田留己 (京都女子大学 2年)

高校時代にワンダーフォーゲルをやっていた澤田はOLの立ち上がりが早く、関西新人戦で優勝、日光インカレでは1年生にしてエリートに出場している。しかしこれまでやってきたトレーニング量が少なく、持久力アップが当面の課題。JWOCでは大きな目標は掲げず、自分の成長過程の一つと位置づける。JWOCセレ後の強化合宿で着実に多くのことを吸収しており、それを本番でどこまで生かせるかだろう。

 

<男子選手>

氏名大学学年経験セレ順位その他
加藤弘之東京3 2年1JWOC99
西尾信寛京都2 1年2 
宇田川雅令東京2 7年3 
狐塚智康東京学芸24.5年4JWOC99
蔵田真彦東京工業2 4年5 
禅洲拓東北2 1年6 

加藤弘之 (東京大学 3年)

JWOC99に続き2回目のJWOC挑戦。昨年はショートBファイナルに僅差で届かなかったが、今年は目標を上方修正し「前人未到」の目標を掲げる。日光インカレはME16位、団体戦も東大の1走として快走しており、この1年間での成長は大きい。世界の舞台でどこまで通用するか見守ろう。昨年のJWOC終了後、早くも今年のJWOCに焦点を当てて、番場らとチェコのテレインに入っているのが強みだ。すばやい手続きの修得に課題を置き、最後の調整をして本番に臨む。

 

西尾信寛 (京都大学 2年)

大学へ入学してすぐに、先輩に当たる番場がJWOC99のセレを通過しており、その頃から今年のJWOCを目指して来たという。全日本、作手の公認M20Aを連覇し、東大大会ではM21ASで先輩の許田をも制して優勝と、ここに来て絶好調である。トレーニングも京大周辺での定番メニューを続けて来ており、体力的にも問題ない。JWOCでの目標は、クラシックでトップ比150%以内、ショートはBファイナル進出が最低ラインと意欲的。大いに期待しよう。

宇田川雅令 (東京大学 2年)

中学の時からOLをやっており7年の経験を有する。中2の時に、当時麻布OLCの部長だった先輩の榎本を通じて既にJWOCのことを知っていたという。昨年秋から本腰を入れて取り組みを開始し、東大OLKの諸先輩に囲まれて頭角を現す。日光インカレでは1年生でエリートに出場。高尾山周辺のマラニックなどで体力面の強化を行い、JWOCではショートBファイナル進出を目指す。海外に知己を増やすことも目標だ。

 

狐塚智康 (東京学芸大学 2年)

狐塚も桐朋中高時代からの5年近いOL経験者で、インターハイで2位に入るなど活躍。その経験を生かし昨年は大学入学直後のJWOCセレに見事通過してJWOC99に参戦した。高校時代から憧れていたJAPANトリムを着る夢は叶ったが、昨年は精神的な不安定さもあって本来の力を出し切れなかっただけに、今年に期するところは大きいだろう。直線的なルートになりがちなルートプランの改善を課題に掲げ、実践的な地図読み練習に励む。JWOCではクラシックでキロ9分の走り、ショートでBファイナルを目指す。

蔵田真彦 (東京工業大学 2年)

高校時代からのOL経験者でインターハイをはじめ大学に入ってからも多くの大会で上位に顔を出している。今回のJWOC参戦を機に、さらなるレベルアップを図る。体力面では登坂力に課題を置き、アップの多い場所でのトレーニングに励む。技術面ではルートプランを重視し、そちらの練習も欠かさない。昨年の西日本のM20Aで優勝、作手大会のM20Aでも3位と入賞しているがまだ好不調の波がある。4年間のOL経験を生かし、すべての競技でBファイナル進出相当の走りをしたいと語る。

 

禅洲拓 (東北大学 2年)

高校まで硬式野球をやっていたというだけあって足の早さには定評がありスタミナも問題なさそう。さらに走り込み量を増やし万全を期している。課題として基礎技術を挙げているが、東北大という良い先輩に囲まれた環境の中でしっかり仕上げて来るだろう。日光インカレMF1位という実績が本物であることを示してもらいたいところだ。ショートBファイナル進出を目指す。

 今回の目標に「ショートBファイナル進出」を挙げる選手が多いので、そのレベルについて少し解説しておこう。男女とも予選レースの結果を元に上位から60名ずつがA、B、Cファイナルに進出すると決められている。実際は予選が3ヒートに分けて行われるため、それぞれのヒートで20位までがAファイナル、40位までがBファイナルとなる。参考までに昨年の記録を以下に掲げる。

男子 4500m 140m
  ヒート順位 所用時間 トップ比  km当り
      1位  29〜31分   100%      6:40
     20位  35〜37分   112〜126%  7:56
     40位  42〜50分   145〜163% 10:16

女子 3800m 110m
  ヒート順位 所用時間 トップ比  km当り
      1位  28〜29分   100%      7:30
     20位  34〜36分   121〜122%  9:10
     ※人数が少なかったためCファイナルは無し

いずれにしても、それぞれの選手が自分の目標を具体的に定めて取り組んで来ていることは、大変望ましいことである。その取り組みの結果としての成績を見守りたい。なおリザルトは公式HPに掲載されることになっている。

http://www.orienteering.cz/jwoc2000/

また筆者のHPでは、選手の様子なども逐一紹介する予定である。

http://www2.plala.or.jp/onoe

                       以上